荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第215回

古い街並みが残る鞆の浦で早朝猫散歩

10時を過ぎると人も猫もグッタリ

　都市部では「猫は室内飼い」が基本になってきているのだが、このあたりではまだ放し飼いが当たり前だ。

　ここで目を上にやると、さっきの猫が寝ていたトタン屋根を下から見上げる形になる。半透明の屋根なので寝てる猫のシルエットが見える。ん……猫の影が増えているじゃないか。

先ほどの屋根の上猫がいつのまにかくっついて寝てるではないか。あまりにかわいいので望遠で（2011年8月 パナソニック DMC-G3）

　あわててトタン屋根を見下ろせる位置に戻ると、2匹に増えてました。青い屋根にいた猫がいつのまにか移動して、ぴたっとくっついて寝ているではないか。

　暑いけどすごく気持ちよさそう。でも2匹が重なってる分、屋根が少したわんでいる。そこがちょいと不安。

　そうやって猫散歩をしていると、あっという間に8時。渡船場近くにある、とうの昔に営業を止めた食堂の前に猫がたむろしてた。

8時10分の猫。後ろの開き戸は、そこがまだ食堂だった頃の名残。もう閉店してずいぶんになるらしい。なかなか開かない戸をじっと（でもないけど）待つのは猫たち。ちなみに、右奥にいる子猫が冒頭写真の猫です（2011年8月 パナソニック DMC-G3）

　もう二度と客を迎え入れることはなさそうな扉の前で、猫たちが行ったり来たりしながらじっと待っている。きっと、ここに住んでる人が餌をあげているのだろう。そろそろ何かもらえそうな時間なのだろう。

　8時を回ると気温が上がり、散歩どころじゃなくなってくる。

9時過ぎの猫。数年前はこのあたりに猫がたくさんいたのだけど、今回見かけたのは1匹だけでした。残念（2011年8月 パナソニック DMC-G3）

　9時過ぎ、海から少し離れて斜面の路地を辿ると、またもや猫発見。人には馴れてないらしく、こちらの姿を見かけると小走りにちょっと逃げた後、ちらりと振り返る。その瞬間を顔にピントを合わせて撮影。きりっとしたいい顔の猫でした。

10時の猫。日が高くなるともう猫の遊ぶ時間は終わり。暑さでぐでーっとしております（2011年8月 パナソニック DMC-G3）

　午前10時。ぐんぐんと気温が上がる。気持ちよかった早朝はどこへやら、である。

　猫ももう日陰でぐったり。そんなときの定番がクルマの下。もう動くのもかったるいとう風で、へちゃっとつぶれていたのでした。

　人間ももうぐったりな気温に達したので、早朝の猫散歩はこれで終わり。今回は時系列で猫を並べてみました。

筆者紹介─荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイ ン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩で、天気がいい日は自転車で都内を走りながらネコを探す日々。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい！』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』（ソフトバンク新書）。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/