広島県福山市。山陽新幹線の福山駅からバスで30分ほど海に向かって南下すると、鞆の浦に到達する。数年前、「崖の上のポニョ」の舞台としてにわかに話題になった町だ。
地名の由来は神功皇后が立ち寄って「鞆」を奉納したことにあるという。神功皇后までさかのぼられるとなんとも確かめようがないが、万葉集に登場するくらいだから古いのは確か。
土地は狭く、海に面した斜面に家がひしめき合って建っており、ほとんどの道が「路地」レベル。そのため、古社古刹や江戸時代の家を含む古い街並みがそのまま残っており、訪れるにはとてもよい場所なのである。古い街並み好きなら何が何でも行くべし。
そんな田舎の漁港なので、言うまでもなく猫がたくさんいるのである(冒頭写真)。
毎年のように訪れているのだけれども(妻の実家がここにあるので「帰省している」とも言う)、今年はちょいと気合いを入れて、早朝猫探索散歩に出てみた。夏の猫は早朝に限るのだ。
朝6時に出発。まず「最近猫がよくいる」という路地を覗いてみる。斜面の狭い路地をちょっと入ると、いたっ。3匹いた。後ろ姿をこっそりと。
慣れないと入っていいかどうかわからない狭い路地だけど、このあたりでは立派な主要生活道のひとつなのである。
田舎というのは面白いもので、ぼそっと「朝から猫を撮りに行く予定」と言った途端、それが知れ渡って、そこら中から猫スポットの情報が集まってくる。恐ろしやクチコミ。
午前6時半。さらに海沿いを歩いていると、高台にある神社の麓を黒い猫がトトトトと歩いている。そっと後を追うと、石仏脇に顔を突っ込んでいる。供えられた水を飲んでいるのだ。
これも後ろ姿をこっそりと。
鞆の浦は起伏が激しい町で、そこら中に古い神社やらお寺やらがある。だから普通に散歩していても楽しい。岬の上にあるお寺を覗いて降りてくると、屋根の上で気持ちよさそうに寝ている猫を見つけたのが午前7時過ぎ。
田舎の猫は優雅でいいですなあ、と思いつつ階段を下りると、路地に子猫発見。
最初、路地の脇にいたんだけど、写真的には路地のど真ん中にいてくれた方が絵になる。だから、路地の真ん中で這いつくばって「道路の真ん中に来て、そこで止まってくれないかな」とつぶやいていたら、来てくれました。ありがとう子猫。
ちょっと目ヤニがひどいけど、いやあ、リクエストに応えてくれた猫なんてそうはいないのでしっかり撮影。
この路地ももちろん普通の生活道路。石畳になっている分、風情がある。
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