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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 第25回

撤退か事業拡大か?

ヒューレット・パッカード、PC事業売却の本当の意味とは?

2011年08月25日 15時00分更新

文● 大河原克行

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PC事業を伸ばしていくための選択という見方はできるのか

 岡副社長は「あくまでも私見」としながらも、次のように語る。

 「もし単独事業として独立した場合にも年間約400億ドル(日本円で約3兆2000億円)という規模を持つ。これはフォーチュン500のなかでも60位前後に位置する規模。そこに5%の営業利益率という、健全な企業体質を持つことができる。経営のスピード、投資のスピード、事業のフレキシビリティがあがるという効果も期待できるだろう」

 そして、こうも語る。

 「もし、webOSを搭載したハードウェアの撤退だけを発表していたら、私は不安を感じていただろう。しかし、今回の発表では、ヒューレット・パッカードは、さらにPC事業を伸ばしていくことを考えているということを明確に示したものだとも受け取れる。これだけの大きな規模を誇るPC事業を、今後も年率2桁で成長させていくことは難しいだろう。だが、タブレット端末にも、スマートフォンにも、webOSとは違う形で取り組んでいくことを示している。次の成長を考えているという点ではむしろ安心することができる発表であったといえる」

 ヒューレット・パッカードは、PC事業に関して、今後1年~1年半で方向性を明らかにし、それを実行に移すことを発表している。

 「個人的な感覚では、1年以内には、明確な方向が発表されることになるだろう。その内容がどうなるかはわからない。しかし、1年から1年半という長い期間を設けて変革を起こそうとしていることは、それだけ大規模な変革に取り組もうとしていることの表れである」

 結果として、webOSからの完全撤退や、PC事業の売却という道もあるかもしれない。

 だが、今回の発表の基本的な姿勢は、PC事業の次の成長を考えたものであり、タブレット端末やスマートフォンからの撤退を意味するものではないことは確かなようだ。

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