米ヒューレット・バッカード(HP)のPC事業分離に関する発表は、驚きをもって捉えられた。世界最大のPCメーカーが、その事業を売却することを検討しているというのだから当然のことだ。
圧倒的な世界シェアとwebOSに対する誤解
米IDCの調査によると、ヒューレット・パッカードの2010年の出荷台数は全世界で6420万台。2位のデルは、4340万台と、ヒューレット・パッカードの3分の2程度に留まる。まさに圧倒的な出荷台数を誇るといっていい。
日本で最大の出荷規模を誇る東芝が約2000万台、先頃、レノボとの合弁へ移行したNECが約250万台であることと比較してもその規模の大きさがわかるだろう。
さらに、2010年4月にパーム社を買収して手に入れたwebOSを、(タブレットでは)搭載製品をひとつ出しただけで、販売を終了するという発表まで行った。同社にとっては、スマートフォン、タブレット端末向けOSとして、肝入れで事業拡大に取り組むはずだったのがwebOS。それが一転して休止の道を選んだともいえる。
そして、これらの発表は、2010年10月に米ヒューレット・パッカードのCEOに就任したレオ・アポテカーCEOが、1年を経たずに打ち出した大胆な一手だといえる。
だが、今回の発表内容について、日本ヒューレット・パッカードの取締役副社長執行役員パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史氏は、「内容が正しく伝わっていない部分がある」と指摘する。
まず、webOSに関しては、webOSを搭載したスマートフォンおよびタブレット端末のハードウェアからの撤退であるということに限定したものであり、webOSをやめるわけではないというものだ。つまり、webOSによるソフトウェアビジネスに関しては、今後も継続するという姿勢だという。
従来はwebOSを外部にはライセンスしないビジネスモデルを標榜。自社のハードウェアだけに搭載するとしていたが、このモデルが大きく変更することにはなる。
具体的な案件が明確になっているわけではないが、カーナビなどのコントローラとして利用されるケースなどを想定。webOSをカーナビメーカーなどにライセンスするという場合が考えられるという。
また、ヒューレット・パッカードのPCやプリンタにwebOSを、搭載して販売するという可能性も継続的に残っているという。
「今回の発表はwebOSをやめるという内容ではない。今後もwebOSの事業が継続されることになり、様々な選択肢があるのは確か。最適な回答を模索していくことになる」と語る。
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