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データセンターだって、サービス、サービスぅ!

マッサージチェアでも有名なビットアイルのデータセンター拝見

2011年08月08日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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ビットアイルといえば、都心型データセンターをメインに展開するデータセンター事業者として知られている。足場のよいサーバールームとして都内の会社に重宝されているビットアイルの第4データセンターにお邪魔した。

最新のスペックを誇る都心型データセンター

 2009年2月に開設されたビットアイルの第4データセンターは、東京都文京区というまさに都心のど真ん中に位置する。ITシステムの保守を行なうエンジニアがすぐに駆けつけられるという立地のよさが大きな売りで、遠隔管理やDRを前提とする地方型のデータセンターと対極のスペックをといえる。東京湾からも約5km離れており、地震発生時でも揺れの少ない地盤上に立てられているため、耐災害性も高い。地上7階、地下1階のビルは、もともと書籍卸業者の倉庫を改造したもので、耐震性も高めているという。

都心のど真ん中に位置するビットアイルの第4データセンター

 総床面積は約1万6500m2で、6kVAのラックが最大2600本設置できる。この2600本のラックに電力供給を行なうため、6万6000Vの特別高圧受電機を2機用意し、2万5000kVAの本線と予備線で受電している。近くにある東京ドームとほぼ同じという大容量の電力を供給してもらうため、電力会社とは2年近く交渉を続けてきたとのこと。もちろん、停電時はブロックリダンダント方式で冗長構成が組まれた高効率UPSと、ガスタービン式の非常用発電機5台が起動し、24時間連続稼働させることが可能になっている。ICカードや静脈認証により高いセキュリティを実現しているのも特徴の1つ。

特別高圧受電装置からの6万6000Vの電圧を分配する設備

コールドアイルチャンバー方式により効率的な冷却を実現

 サーバールームは空調方式として「コールドアイルチャンバー」という方式を採用し、壁や天井を物理的に間仕切りし、コールドアイルを作る。冷気が床から吹き出し、ラックの前面から入るのだが、物理的に間仕切りされるので、冷却効率が優れている。とはいえ、消防法のからみで完全に部屋にするわけにはいかず、苦労したとか。実際、こうした物理的な間仕切りを導入しているデータセンターは、私の知る限り意外と多くない。

 最近同データセンターで行なっている取り組みは、やはりエコロジーだ。前述したコールドアイルチャンバーや高効率UPSなどによる電力節約だけではなく、空調の温度設定を上げたり、ラックのすき間を埋めるためのブランクパネルを無料配布したりといった施策を進めているという。

エンジニアフレンドリーが人気の秘密?

 さて、ビットアイル第4データセンターといえば、深夜に作業するエンジニアのために「マッサージチェアーがある」というのが有名だ。

 データセンターといえば、出入りは面倒、飲食は禁止、もちろん喫煙は不可ということで、あまりエンジニアにとって優しくないのが実態だ。これに対してビットアイルは、エンジニアの来客を前提としたフレンドリーな作りになっている。飲食が可能なサロンや軽食の販売機、喫煙ルーム、前述したマッサージチェアーや休憩に使えるベッドルームまで用意されており、まさに至れり尽くせり。また、サーバールームにもイスや脚立、モニター、キーボードが備え付けているため、かえって出入りが少なくなるという。

ミーティングスペースも用意されており、自由に利用できる

 確かにデータセンターはサーバーをはじめとしたIT機器のための施設ではあるが、なかで作業するエンジニアもやはり快適に作業できたほうがよいに決まっている。その点、ビットアイルの第4データセンターは、夏のタクシーでそっと渡される冷たいおしぼりのように気の利いた「サービス」を提供してくれるところだと感じられた。自社のサーバールーム代わりとして、今後も需要は増えそうだ。

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