やはりターマックでのメロン号の戦闘力は、我ながら驚いてしまうほど圧倒的だ。デイ1の8本のSS中、SS6を除く7本でベストタイムを奪取! 2番手に22.6秒の差をつけ、トップで本日最終のサービスBへと戻ってきた。当初の目論見どおり、デイ1でほぼ勝負をキメた格好だ。じゅうぶんなマージンを稼ぎ出したことで、明日の難ステージ「鳥屋峠」は余裕を持って攻めることができるだろう。
空には徐々に雲が増えはじめていて、雨を予感させる状況だ。高山市南部のピンポイント予報でも夜半を過ぎたあたりの降水確率が高く、やはり予報どおり日付を越えるあたりで一雨くるかもしれない。
明日の主戦場となる「鳥屋峠」は、ここアルコピア・ラリーパークから約30km離れたところにある。明朝、現地の路面状況がどうなっているかによって、デイ2最初のサービスCで選ぶタイヤのコンパウンドが左右されることになるだろう。
10日(日)、デイ2。アルコピア・ラリーパークは、朝から濃い霧に包まれていた。
予想通り昨晩の夜半過ぎに短い雨が降り、地面はしっとりと濡れている。筆者は朝4時に起きて「鳥屋峠」の入口付近に移動し、現地の路面状況について判るかぎりチェックした。
「鳥屋峠」へと至る国道の路面はおおむねドライだが、少しでも木が覆っているところだといまだに湿り気を帯びている。「鳥屋峠」は、ほぼ全線が深い森の中で日光が差し込まないため、しばらくはウェット傾向が続くはずだ。
これでタイヤチョイスが決まった! すぐさまサービス隊に連絡を取り、今日の使用タイヤを指示する。
装着するのは、安全マージンを見越してウェット用のソフトコンパウンドタイヤ。そして路面が乾いてきたらすぐにチェンジできるよう、車内にドライ用のミドルコンパタイヤを2本搭載する。この判断、はたして吉とでるか凶とでるか!?
SS(距離) | ステージタイム(トップ差) | クラス総合タイム(トップ差) |
---|---|---|
SS9/鳥屋峠I (4.10km) | 3:43.1(+0.1) | 34:39.4(TOP) |
SS10/鳥屋峠II (4.10km) | 3:36.7(+0.9) | 38:16.1(TOP) |
SS11/鳥屋峠ReverseI (6.25km) | 5:36.5(+2.8) | 43:52.6(TOP) |
SS12/鳥屋峠ReverseII (6.25km) | 5:31.0(TOP) | 49:23.6(TOP) |
眞貝選手「明けてデイ2、ラリーの優勝に向けては安全圏といってもいいリードでしたが、デイポイントも外せない、そんな複雑な心境を抱えた中でのアタックです。同じステージを使うSS9では筒井選手にベストタイムを奪われ、さらに後続とのタイム差も小さかったために、“絶対にポカミスをしない”範囲内でのプッシュをかけています」
実はこのとき、筆者は「しまった!」という思いを抱いていた。雲が流れるのが予想外に早くて日光が差し込み、ラリーパークではどんどん気温が上がってきたのだ。当初は、SS10が終わるまではウェット路面になると見越していたが、もし「鳥屋峠」の路面が予想よりも早く乾いてきたのなら、ソフトコンパウンドの選択は大失敗となってしまう。
しかし、後でSS10のインカー映像を見てみると、とりあえずこのコンパウンドは無難なチョイスだったようだ。ホッと胸をなでおろした瞬間である……。
眞貝選手「もう二度と走りたくない“鳥屋峠”の逆走です(笑)。特に最終盤、ハイスピード&ナローなレイアウトのなか、みるみる悪化していくコンディションがいやらしくて、完全に根性勝負なステージでしたね。SS11は濱井選手が結構いいタイムを出してベストタイムを取り、そのタイム差をこのSSでも付けられちゃうとデイポイントが減ってしまうので、ここはひとつ確実にベストタイムを取りに行った、という感じでしょうか。それでも最後の1キロは完全にビビりが入っていましたね(笑)」
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