可用性を高める技術
可用性を向上させることも、エンタープライズストレージには欠かせない重要な要件だ。HDDをRAID構成にするのは、もっとも基本的な可用性向上対策といえるが、それに加えて、主にハードウェアの面で対策が施されている。
まずは、重要なハードウェアコンポーネントの冗長構成が行なわれている。HDDについてはRAIDによって冗長化されるが、それ以外ではまず電源ユニットが冗長構成にされるのが一般的だ。単体でも全システムに電源供給が可能な電源ユニットを2台装備している、という例が基本だが、さらに3台目、4台目の電源ユニットを装備している例も珍しくない。HDDや電源では、ホットスワップに対応するのも一般的だ。これは、障害を起こしたユニットをシステムの動作中に交換可能とするものだ。ユニット交換のためにシステムをいったん停止しなくてはならないようだと、業務によっては交換のためのシステム停止が可能なタイミングが取れないことも考えられるため、24時間連続運転を前提としたシステムでは必須の機能といえる。
そのほかには、ネットワークインターフェイスも複数装備され、冗長構成に対応しているのが一般的だ。複数のネットワークインターフェイスを束ねる「チーミング」などのサポートにより、特定のインターフェイスが故障した場合でもサーバからのアクセス経路が確保できる。
さらに大規模な製品では、システム全体の制御を担当するコントローラ部(CPUやメモリなど)も冗長構成になっていたり、HDD等を相互接続するためのバックプレーンが二重化されているなどの例もある。基本は「ここが障害を起こしたらシステム全体が機能停止する」という単一障害点(SPOF:Single Point of Failure)を回避することに主眼が置かれており、どこまで多重化できるかは高可用性確保のためにどれだけのコストをかけられるかによってさまざまなレベルで製品化されている。
この連載の記事
-
第22回
サーバー・ストレージ
サーバーの次に注目されるストレージの仮想化 -
第19回
データセンター
「i」に対応!IBMの「リモート・データ保護」が対象拡充 -
第19回
サーバー・ストレージ
バス変更などで性能4倍!日本IBMのストレージ「XIV Gen3」 -
第19回
サーバー・ストレージ
データを守るRAIDとストレージのネットワーク化 -
第17回
サーバー・ストレージ
自動階層化で効率化を追求したDell Compellent -
第17回
サーバー・ストレージ
ハードディスクと外付けディスクアレイ装置 -
第16回
サーバー・ストレージ
再評価されるテープライブラリの最高峰「HP ESL G3」 -
第15回
サーバー・ストレージ
日本SGI、最大1PBのストレージ「InfiniteStorage 5500」 -
第14回
サーバー・ストレージ
自動階層化とPowerShellに対応した新SANsymphony-V -
第13回
サーバー・ストレージ
クラウドの4要素は「NetApp OnCommand」で管理できる - この連載の一覧へ