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最新エンタープライズストレージの実力を探る 第20回

重要なデータをいつでも確実に使うために

データ保護の技術 可用性を高める技術

2011年07月26日 09時00分更新

文● 渡邉利和

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可用性を高める技術

 可用性を向上させることも、エンタープライズストレージには欠かせない重要な要件だ。HDDをRAID構成にするのは、もっとも基本的な可用性向上対策といえるが、それに加えて、主にハードウェアの面で対策が施されている。

 まずは、重要なハードウェアコンポーネントの冗長構成が行なわれている。HDDについてはRAIDによって冗長化されるが、それ以外ではまず電源ユニットが冗長構成にされるのが一般的だ。単体でも全システムに電源供給が可能な電源ユニットを2台装備している、という例が基本だが、さらに3台目、4台目の電源ユニットを装備している例も珍しくない。HDDや電源では、ホットスワップに対応するのも一般的だ。これは、障害を起こしたユニットをシステムの動作中に交換可能とするものだ。ユニット交換のためにシステムをいったん停止しなくてはならないようだと、業務によっては交換のためのシステム停止が可能なタイミングが取れないことも考えられるため、24時間連続運転を前提としたシステムでは必須の機能といえる。

EMCのエントリ向けストレージ「VNXe」ではコントローラーだけでなく、電源ユニットも冗長化可能

 そのほかには、ネットワークインターフェイスも複数装備され、冗長構成に対応しているのが一般的だ。複数のネットワークインターフェイスを束ねる「チーミング」などのサポートにより、特定のインターフェイスが故障した場合でもサーバからのアクセス経路が確保できる。

 さらに大規模な製品では、システム全体の制御を担当するコントローラ部(CPUやメモリなど)も冗長構成になっていたり、HDD等を相互接続するためのバックプレーンが二重化されているなどの例もある。基本は「ここが障害を起こしたらシステム全体が機能停止する」という単一障害点(SPOF:Single Point of Failure)を回避することに主眼が置かれており、どこまで多重化できるかは高可用性確保のためにどれだけのコストをかけられるかによってさまざまなレベルで製品化されている。

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