中国ではネット検閲がある、ということは知られていると思う。5月19日、武漢大学で「グレートファイアウォールの父」と呼ばれている北京郵電大学の方浜興学長が講義していたところ、靴が投げられ命中したという事件が発生。ネット検閲を快く思っていないネットユーザーは、ここぞとばかりにTwitterもどきの「微博」などで話題にした。
ネット検閲といえば、目立ってターゲットにされた最右翼は「Google」だろう。検閲を拒んだGoogleは、香港にサーバーを置き、そこで中国大陸向け検索業務を続けた。Googleが撤退した背景には、「百度」がGoogle以上に市民権を得ていたこともある。
今でこそAndroid搭載スマートフォンも中国でリリースされているが、チャイナ・モバイル(中国移動通信集団公司)からAndroid OSをいじった「OPhone」がリリースされており、「OPhoneが市民権を得たらAndroidを追い出すのかな?」とか勘ぐったり……。
検閲といえば無視されがちだが、地図サービスも検閲の対象となっている。地図サービスを始めるには、中国政府の担当部署である「国家測絵地理信息局(略称:測絵局)」から地図サービス運営許可証をもらわない限り、サービス運営ができないのだ。
GoogleMapの「普通ではない状況」
中国には2D/3D/クォータービューの地図サービス(関連記事)を提供する百度をはじめとして、企業がいくつもある。こうした国内企業はあっという間に「許可証発行」となったが、やはりGoogleやMicrosoftは手こずっている。
香港メディアによれば、国防を担当する「国家安全局」のチェックも入るので、「許可証発行に時間がかかっているのではないか」と推測されている。
Googleの地図サービスといえば「GoogleMap」と「GoogleEarth」。GoogleMapは早くも普通ではない状況となり、GoogleEarthは使えるが、いつGoogleの検索サービスと同様にしてもいいようにか、代替えとなるそっくりサービス「天地図」が測絵局からリリースされている。
「GoogleMapの普通ではない状況」とは何かというと、中国からGoogleMapを利用する場合、中国語サイトの北京サーバー「ditu.google.cn」にアクセスしない限り利用できず、他の「maps.google.com.hk」などの中国国外サーバーを利用しようとしても、遅すぎて使い物にならないのである。
なお、普通に日本語OSの環境でGoogleMapを利用すると、後者の「maps.google.com.hk」に接続しにいくので、快適に利用したい場合は中国語サーバー「g.cn」から中国語サイトに飛び、そこから地図サービスを選択する必要がある……面倒ではあるが。
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