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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第70回

新世代ThinkPad X1は究極の「モバイルノート」か?

2011年05月26日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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ディスプレーは180度開く

 ディスプレーの前面に貼られているのは、iPhoneやソニーのテレビ「ブラビア」などに採用されている、Corning社の特殊ガラス「ゴリラガラス」だ。表面は完全にツライチの美しい仕上げとなっており、しかも強度も十分。180度までディスプレーを開ける自由度もいい。ディスプレーを含めた「たたずまい」は高級機ならではのものだ。

 他方で、ゴリラガラスを全面に押し出した結果、ディスプレー表面の光沢はかなり強いものになっている。ビジネスユーザーを中心とした、アンチグレア仕上げのディスプレーを好む層には厳しいと感じる。

 従来のThinkPadに比べて、もうひとつ大きく違うのが「キーボード」だ。X1で採用されているのは、低価格な「ThinkPad X100e」シリーズや、IdeaPadなどでも採用されているアイソレーションタイプ(同社ではアイランド方式と呼んでいる)のキーボードだ。キー配列はX220などで採用されている最新のものとも、伝統的なThinkPadのものとも異なる。

 基本的な配列はさほど特殊なものではないので、アイソレーションタイプに拒否感があったり、既存のThinkPadの配列に格別の思い入れがあったりしなければ、さほど問題を感じるものではない。タイプ感はThinkPadらしく、大人しめで快適なものである。PrintScreenキーが変わった位置にあることにちょっと驚いたものの、特に違和感は感じなかった。

キーボード全景。これまでのThinkPadとは違う、新しい配列が採用されている。タイプ感は軽快で悪くない

 従来のThinkPadと違う点をもうひとつ指摘するなら、暗い場所でキーボードを使うための「キーボードバックライト」が装備されている点だ。従来のThinkPadでは、ディスプレー上部からキーを照らすキーボードライトが採用されることが多かった。そのせいか、「Fn」+「Space」キーでのショートカットは、従来の画面拡大(キーボードマグニファイア)からキーボードバックライトの照度変更になっている。照度は2段階で変更できる。光り方もかなり上品で、ボディーの作りと同様に高級感がある。

キーボードバックライトを内蔵。照度は2段階で変更可能(写真は最大照度状態)。中央の明かりが強く見えるが、使ってみるとほとんど気にならない

薄型ボディーに通常電圧CPUでも
放熱性能は十分

 X1はCPUに、標準電圧版のCore i5-2520M(2.50GHz)を採用している。そのため動作速度に関しては、ビジネスアプリケーションであればほぼ不満を感じることはない。Windowsエクスペリエンスインデックスの値は「4.7」。ボトルネックはグラフィックだ。

Windowsエクスペリエンスインデックスの値

 標準電圧版なので発熱が気になるところだが、こちらもさほど問題は感じなかった。高負荷状態では、本体左側からの排気こそ熱く感じたが、底面はそれなりの熱で収まっている。ファンを使った放熱機構は相当に優秀だと感じる。

各部の温度 放射温度計による測定、室温は23度。フルパワー時はH.264動画エンコード状態

 ただし、放熱時に回るファンの音はちょっと気になる。甲高い音なので、図書館のように静かな場所で高負荷な作業していると、耳につくかもしれない。とはいえ音量自体は小さいのも事実なので、人のいるオフィスや交通機関内で使うなら、気になるレベルではないだろう。

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