ディスプレーの前面に貼られているのは、iPhoneやソニーのテレビ「ブラビア」などに採用されている、Corning社の特殊ガラス「ゴリラガラス」だ。表面は完全にツライチの美しい仕上げとなっており、しかも強度も十分。180度までディスプレーを開ける自由度もいい。ディスプレーを含めた「たたずまい」は高級機ならではのものだ。
他方で、ゴリラガラスを全面に押し出した結果、ディスプレー表面の光沢はかなり強いものになっている。ビジネスユーザーを中心とした、アンチグレア仕上げのディスプレーを好む層には厳しいと感じる。
従来のThinkPadに比べて、もうひとつ大きく違うのが「キーボード」だ。X1で採用されているのは、低価格な「ThinkPad X100e」シリーズや、IdeaPadなどでも採用されているアイソレーションタイプ(同社ではアイランド方式と呼んでいる)のキーボードだ。キー配列はX220などで採用されている最新のものとも、伝統的なThinkPadのものとも異なる。
基本的な配列はさほど特殊なものではないので、アイソレーションタイプに拒否感があったり、既存のThinkPadの配列に格別の思い入れがあったりしなければ、さほど問題を感じるものではない。タイプ感はThinkPadらしく、大人しめで快適なものである。PrintScreenキーが変わった位置にあることにちょっと驚いたものの、特に違和感は感じなかった。
従来のThinkPadと違う点をもうひとつ指摘するなら、暗い場所でキーボードを使うための「キーボードバックライト」が装備されている点だ。従来のThinkPadでは、ディスプレー上部からキーを照らすキーボードライトが採用されることが多かった。そのせいか、「Fn」+「Space」キーでのショートカットは、従来の画面拡大(キーボードマグニファイア)からキーボードバックライトの照度変更になっている。照度は2段階で変更できる。光り方もかなり上品で、ボディーの作りと同様に高級感がある。
薄型ボディーに通常電圧CPUでも
放熱性能は十分
X1はCPUに、標準電圧版のCore i5-2520M(2.50GHz)を採用している。そのため動作速度に関しては、ビジネスアプリケーションであればほぼ不満を感じることはない。Windowsエクスペリエンスインデックスの値は「4.7」。ボトルネックはグラフィックだ。
標準電圧版なので発熱が気になるところだが、こちらもさほど問題は感じなかった。高負荷状態では、本体左側からの排気こそ熱く感じたが、底面はそれなりの熱で収まっている。ファンを使った放熱機構は相当に優秀だと感じる。
ただし、放熱時に回るファンの音はちょっと気になる。甲高い音なので、図書館のように静かな場所で高負荷な作業していると、耳につくかもしれない。とはいえ音量自体は小さいのも事実なので、人のいるオフィスや交通機関内で使うなら、気になるレベルではないだろう。
この連載の記事
-
第116回
PC
「VAIO Duo 13」—革新は形だけじゃない! 変形ハイエンドモバイルに込めた思い -
第115回
PC
ソニーの本気—Haswell世代でVAIOはどう変わったか? -
第114回
PC
渾身の「dynabook KIRA V832」はどう生まれたのか? -
第113回
PC
HPの合体タブレット「ENVY x2」は、大容量プロモデルで真価を発揮! -
第112回
PC
ソニー“3度目の正直”、「Xperia Tablet Z」の完成度を探る -
第111回
PC
15インチでモバイル! 「LaVie X」の薄さに秘められた魅力 -
第110回
PC
フルHD版「XPS 13」はお買い得ウルトラブック!? -
第109回
デジタル
ThinkPad Tablet 2は「Windows 8タブレット」の決定打か? -
第108回
デジタル
今後のPCは?成長市場はどこ? レノボ2013年の戦略を聞く -
第107回
PC
Windows 8とiPadがもたらす変化 2012年のモバイルPC総集編 -
第106回
PC
Clover Trailの実力は? Windows 8版ARROWS Tabをチェック - この連載の一覧へ