現在のデジカメとビデオカメラは、ともに互いの領分を積極的に取り込んでいて、デジカメでフルHD動画を撮影することも、ビデオカメラで高解像度の静止画を撮れることも当たり前。
違いと言えばビデオカメラスタイル(奥行きが長い)か、静止画カメラスタイル(横幅が長い)か、という形状の違いが大きい。こんな流れの中で、見た目も機能もユニークなカメラが登場した。
それが今回取り上げる日本ビクターの「GC-PX1」だ(実売価格10万円前後、関連記事)。同社のビデオカメラである「Evrio」というブランド名も使っておらず、“HDハイブリッドカメラ”という新しいカテゴリー名が付けられている。
ミラーレス一眼のような形状が
案外いい感じ!?
形状を見ると、ミラーレス一眼のようにも見える。大きめのレンズ&ボディ部と、極めて薄型のグリップ&モニター部で構成されており、撮影スタイルは右手でグリップを握り、シャッターや動画の撮影開始/停止などを操作する。
左手は、レンズ&ボディ部にあるボタン類を操作したり、レンズ部分をグリップして支えるように操作するほか、タッチパネル液晶モニターによるタッチ操作も行なう。ほぼ静止画撮影のそれだ。
グリップ部分はバッテリーを内蔵することもあり、やや大型になっているが、そのぶん握りやすく、片手持ちでも安定感はかなり優秀だ。
本機の特徴のひとつである300fpsのスロー動画撮影機能など、機能面はどちらかといえばHDビデオカメラと言える。一般的なHDビデオカメラの持ち方などを考えるとちょっと違和感はあるが、実際に撮影してみるとこれが案外良い。
基本的には右側のグリップを持つ片手持ちで撮影でき、ハイアングルはもちろんのこと、ローアングル撮影もグリップ部を持ち替えることなくそのまま撮影できる。しかも、手ブレを抑えるために両手持ちにするときも、左手でレンズボディ風の本体を支えれば、三脚なしでもかなり安定した撮影ができる。この快適さはミラーレス一眼を使っている人には当たり前のことだが、ビデオ撮影では斬新だ。
新開発の高性能エンジンで
動画・静止画ともにハイスペック
撮像素子は1/2.3型 1062万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載。最大1080/60pの動画撮影に加え、最大998万画素の静止画撮影が可能だ。ビデオカメラとしても、静止画カメラとしても、かなりの高機能な部類に入る。
この撮影機能を支えるのが、オリジナル開発された高性能画像処理エンジン「FALCONBRID」だ。これは、カメラ信号処理に加えて、動画、静止画の映像処理をワンチップで処理できるLSIだ。
1080/60pの動画撮影は最大35Mbpsの「UHR」モードまで選択できる。1080/60pは現行の「AVCHD」規格ではサポートされていないこともあり、動画コンテナ形式は“.MP4”となる。このため、BDレコーダーなどでは動画を取り込むことができず、編集などはPC側で行なうことになる。
付属のPC用ビデオ編集ソフト「LoiLoScope FX」は、Windows専用(Windows 7/Vista/XP)だが、Mac OSでは「iMovie 11」などが対応しているので、実用上は問題ない。
静止画撮影でも、最速60コマ/秒で最大144枚の高速連写が可能。この高速連写を実現できたのも「FALCONBRID」の高性能の賜物だ。なお、このときの静止画解像度は3200×1800ドットとなる。ゴルフのスイングフォームのチェックや、スポーツシーンを撮影することの多い人にも頼りになるだろう。
動画・静止画の記録は32GBの内蔵メモリーとSDメモリーカードスロットに行なう。メモリー間でのコピーも可能なほか、動画の1コマをフルHDの静止画として切り出す機能も備えている。
さらに、HDMI出力で直接テレビとつないで映像を再生でき、テレビなどのHDMIリンク機能にも対応している。BDレコーダーでの動画取り込みはできないが、PCレスで使いたい人であっても、基本的なファイル管理や映像の再生などは問題なく行なえる。
余談だが、UHRモードの1080/60p動画(35Mbps)はかなり負荷が大きく、並みのPCの能力ではまともに再生ができない。60pの情報量やスムーズな動きをストレスなく楽しむならば、HDMI出力を使って再生するのが最も手軽で高画質だ。

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