ミクZ4、3年目の本気！　SUPER GT激闘記 第1回

グッドスマイルカンパニー・安藝社長ロングインタビュー

右京、可夢偉、谷口がミクGTに続々参戦！

番場は絶対に許さない、絶対にだ（笑）

──去年はあとちょっとで勝てそうなレースが、いくつかありました。その「あとちょっと」が遠かったですね。

安藝　そうですね、2回は勝てたかな。どっちも番場選手のせいなんですけど（笑）。一生、絶対に許さない、絶対にだ！（笑）　ま、それもレース、ドラマなんですけどね。普段通りにいければよかったのかもしれないけど、彼もプレッシャーがすごかったんだと思います。

──ミクGTプロジェクトを始めて一番印象に残っていることや、衝撃を受けたことはなんでしょう。

安藝　そりゃ、フォーメーションラップから戻ってきたら2位じゃなかったことですよ（笑）。あれは一生忘れられない出来事として刻まれましたね。1分くらい頭の中が混乱してましたから。接触されたのかなとか、番場選手に何かあったのかなとか。結局は彼の単独スピンだったわけですが（笑）。

ファンもファンじゃない人も大混乱したであろう、ファーメーションラップでのアクシデント

──あのときは応援シートのみなさんも、頭上に「？マーク」が浮かんでました（笑）。ところで、佐々木選手に関する評価は安藝さんの中ではいかがですか？

安藝　個人的な感想になってしまうんですけど「速くなったなあ」と。GTマシンに慣れるまではかなり苦労していたようです。最初の頃は「わけわかんねえ！」って言いながら走ってました。それでも番場選手が一生懸命教えたり、佐々木選手も肩肘張らずにいろいろと聞くんですよ。勉強熱心だし、謙虚だし、後半あれだけ速くなったのはそんな彼の姿勢でしょうね。裏では「ハコ車では絶対負けねえ！」っていう意地もあったとは思うんですけど、それはそれとして、結果を出すためには手段を選ばずという姿は好感が持てましたね。車載ビデオを何回も見て、番場選手のビデオと並べてどこが違うのかとか、疑問点を洗い出して番場選手に聞きまくってましたから。

──さすが「岩手のスター」ですね。あの速さはそんな修練の賜なんですね。

速くなるために、できることならなんでもする、という姿勢が結果に繋がったササキング。今期は残念ながらチームを離脱してしまったが、「またいつか一緒に戦いたい」と安藝社長も語っていた

個人スポンサーマネーはすべて改造費に

──ちょっと生々しいお話を聞きたいのですが、個人スポンサーから得た資金はどのように使われたんでしょうか？

安藝　チームが1年間レースをしていくのに必要な金額があります。例えば、松竹梅とあって「出るだけ」「真ん中くらいの成績」「勝ちたい」と、金額もそれによって変わってきます。Z4のときからそうですけど、僕らは勝つための体制で戦ってきているんですが、それってかなりの額なんですよ。それらは僕らの会社だとか企業スポンサーさんが出しています。個人スポンサーの金額は読めないので、チームの資金のプラスアルファという位置付けで考えて「もっと速く、もっと強く」という部分に充当しています。そうしていかないと、個人スポンサーというカタチで応援してくれているファンへの責任が取れないんです。途中で資金が尽きたから、もう走れません、出られませんじゃカッコつかないですから。レース参戦というエンターテインメントを買っていただいているんですから、「勝て！」と応援する声に対して「勝つ！」という体制で臨みたいんです。

文字通りチームの原動力となっている「個人スポンサー」。家で応援する人から、サーキットまで来て応援旗を振る人まで様々だ

　今年は「出してくれた分で、より速くします」と宣言したいですね。個人スポンサーのお金がなくても、もちろん走りますが、出していただければそれだけ速くなりますよ、と。そこ（個人スポンサーのお金）を残そうとは思っていないので、いただいた分はすべてクルマを速くするために使います。去年までも同じようにやっていましたけど、ちょっと突っ込みすぎちゃいましたね（笑）。

　このチームで乗るドライバーは、個人スポンサーからの応援で力をもらえることは間違いないんですけど、それとは違うプレッシャーがあるでしょうね。

──他のチームと違って、ファンから声援だけでなく、お金もいただいているわけですからね。プレッシャーは想像に難くないですね。

プレッシャーを跳ね除けられないと、GSRのドライバーを務めるのは難しい

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