日本同様、中国のPCラインナップにも(デスクトップPC、ノートPCそれぞれに)「コンシューマー向けPC」と「ビジネス向けPC」が存在し、多くの中国の地場メーカーおよび外資系メーカーがビジネスPCをリリースしている。
日本のビジネス向けPCというと、特徴のひとつに「プレインストールされているソフトが、コンシューマー向けPCに比べてずっと少ない」ということが挙げられる。しかし、コンシューマー向けPCを含め、多数のソフトがプレインストールされているというのは、筆者自身、最近訪問したアジア地域では見たことが無い。
NECや富士通は元々(日本以外の)アジア地域では有名でないし、比較的よく見かける東芝のPCも、プレインストールソフトはシステム関連ユーティリティくらいしか入っていない。ソニーだけは「VAIO」に特化した(市販されていない)AV系ソフトを海外モデルでもプレインストールし、我が道を行く。
プレインストールされているソフトがコンシューマー向けPCにもないとすると、「ではビジネス向けPCとコンシューマー向けPCの違いはなんぞや」という疑問が湧いてくる。
コンシューマー向けPCは「ビデオ周りの処理が高速で、タワー型PCケースのデザインがやや格好いい」、ビジネス向けPCは「堅牢性、安定性が高く、地味なタワー型PCケース」というのが中国における定義である。
しかし、コンシューマー向けPCにしろビジネス向けPCにしろ、PCはPCなので、実際のところ中国地場メーカーがリリースするビジネス向けPCとコンシューマー向けPCは、特にエントリー価格帯の製品においては差別化ができない。ここは日本と似ているかもしれない。
経営者はブランドネームのあるマシンを好む
中国では、経営者と社員の間に所得格差と発言力の差が馬鹿馬鹿しいほどあり、そのため誰もが小さい会社でも店でもいいから一国一城の主になろうとする。
商店街がシャッター街化し、大きなショッピングセンターに集約されていく日本とは対照的に、中国を含むアジア地域全般では、「よくもまぁこれほど小さな店が延々続くものだ」と、車に乗ったり歩いていると思うことだろう。
ただ、中国がほかのアジア諸国と異なるのは、ほとんどの中小企業や店舗がPCを利用している点だ。筆者自身、そうした中小の会社を見ることはしばしばあるが、どの会社を見てもひとつの会社、ひとつの部署においてですら、PCの統一性は皆無である。
経営者は“メンツPC”とばかりに「ThinkPad」やVAIOのハイエンドモデルを机に置く一方、従業員には安い自作PC(ショップブランドPC)があてがわれるのがよくある話(それでも最近はノートPCをあてがうケースが増えているが)。
だからこそ、中小企業ないしはそれに準ずる役所関係に置かれるPCもプリンターもてんでバラバラというケースがほとんどだ。
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