ローエンド向けの「Zacate」は
2コアと1コアの2本立て
最後がローエンドの「Zacate」である。BobcatコアにGPUを統合し、40nmのバルクプロセスで製造されるという、これまでのものとはちょっと毛色の変わった「もうひとつのFusion」である。こちらはすでに量産に入っており、早ければ2010年末にも出荷という噂もあるが、これは2011年1月のイベント「International CES 2011」で搭載製品をお披露目するというスケジュールに沿って、「OEM向けに出荷」という話ではないかと思われる。
ロードマップを見ると、モバイル向けにZacateと「Ontario」(関連記事)、デスクトップ向けにはZacateのみという話だった。そのため、デスクトップ向けは2コア構成のみかと思っていたのだが、実際にはZacateながら1コア構成の製品も用意されているようである。このZacateが登場するがゆえに、Sempronは(一部を除き)早期にフェードアウトを余儀なくされることになるだろう。もっとも、こちらもZacateのリリーススケジュールに何かあれば、柔軟に伸びる可能性はある。
2012年のデスクトップ向けは
Komodo、Trinity、Krishna
最後に2012年のデスクトップ向けラインナップに触れて終わりとしよう。まずトップエンドには次世代「Bulldozer-NG」(NGはNew Generationの略)コアを搭載した「Komodo-8C」(8コア)が登場する。これのパッケージはSocket AM4になるというもっぱらの噂だが、まだ確認は取れていない。
普通に考えれば、少なくとも「Komodo-6C」(6コア)も用意していてしかるべきだと思うが、あるいは引き続きZambeziの8/6/4コアの販売が続いており、インテルの22nmプロセスCPU「IvyBridge」対抗として、トップエンドにのみKomodo-8Cをリリースするのかもしれない。
Komodoの下には、Llanoの後継として「Trinity」コアが用意される。こちらはStarsコアに代えてBulldozer-NGコアを搭載した製品となる。ただ、Komodoとまったく同じ構成ということはありえず、例えば3次キャッシュ容量を減らすといった違いはあるかもしれない。
登場時期は不明だが、「Llanoとプラットフォーム互換性はある」(引き続きSocket FM1を使う)という話なので、場合によっては早期にLlanoを置き換えるのかもしれない。このあたりはむしろ、製造を担当する米GLOBALFOUNDARIES社の、32nm SOIプロセスの余力次第という側面もありそうだ。
最後が「Krishna」で、これは「Bobcat-NG」を搭載したものとなる。この世代の大きな特徴は、28nmのバルクプロセスを使うことだ。これにより一層の省電力化を図るというのが売り文句になっており、逆に性能に関しては、意外に変わらないままで推移する可能性もあるだろう。
モバイル向けCPUと組み込み向けCPUについては、次回に解説したい。
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