128回に続き、今回はAMDのサーバー向けCPUロードマップのアップデートをお届けしたい。去る2011年11月に、「Bulldozer」ベースの「Interlagos」(Opteron 6200)と「Valencia」(Opteron 4200)が無事出荷された始めた(関連記事)。この先の製品についても若干見えつつあるということで、そのあたりまでまとめて解説しよう。
現在まで続くOpteronの歴史を振り返る
まずは復習を兼ねて、Opteronのラインナップを説明しておこう。2008年11月に「Shanghai」コアの「クアッドコアOpteron」が、「Opteron 1/2/83xx」シリーズとして登場した。Opteronとしては第三世代なので、百の位が「3」になっている。デスクトップ向けとしては、「Phenom II X4」として発売された製品だ。
このShanghaiコアを6コア化したのが「Istanbul」で、こちらは第4世代扱いとなって「Opteron 1/2/84xx」シリーズとして投入された。ソケットは引き続きSocket Fのままである。
このSocket Fはいろいろと隠し機能が豊富で、非公式にはFB-DIMMもサポートされていた。もっとも、これは実際にCPUがFB-DIMMに対応した、という意味ではない。FB-DIMMの話は連載99回でも解説しているが、AMDは当初、インテルの1年遅れ程度でFB-DIMMを利用する製品を、サーバー市場向けに投入するオプションを考慮していた。これにあわせて、Socket Fの規格もFB-DIMMに対応できるようなオプションがあったわけだ。
詳しい話は不明だが、基本的にはDDR2の信号ピンを使いつつ、FB-DIMM利用時は高速化する信号に対応するために、FB-DIMMの信号ピンの周囲にGNDを配置するといった形で対応していたようだ。ただFB-DIMM自身の失速にともない採用計画も立ち消えとなったため、このオプションは最後のSocket Fの規格からは消えている。

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