Direct X10以前のタイトルでは優位性は薄れる
Direct X10対応の「3DMark Vantage」とDirect X9.0C対応の「Final Fantasy XIV Benchmark」では、Direct X11対応タイトルとは結果が大きく異なってくる。いずれもHD 6870がHD 5870に勝っているが、その差はDirect X11タイトルのような圧倒的な差ではない。Direct X10以前のタイトルだと、両者の差は余り大きくないと見てよいだろう。この理由により、HD 6850はHD 5870よりもかなり低いスコアになっている。
HD 6850とHD 5770はほぼ同じ価格セグメントを担当する製品となるが、その性能差はどのベンチマークにでも圧倒的にHD 6850が上だ。消費電力や電源の負担を重視して、外部電源に6ピン1つの製品をチョイスするという人には、かなりオススメの製品と言えるだろう。
消費電力は「Lost Planet 2 Benchmark」のTest B計測中にワットチェッカーが示した最大値を計測した。これを見る限りでは、HD 6870とHD 5870のピーク消費電力はほぼ同等クラスと見て取れる。アイドル時の消費電力は公称ではHD 5800シリーズの27Wから19Wへと低減しているのだが、計測結果からはその効果を確認できなかった。
Direct X11対応タイトルをプレイしまくるユーザーにオススメ
ベンチの結果を見ると、HD 6870とHD 6850は最新のDirect X11対応タイトルをプレイしまくるユーザーにはかなり魅力的な製品だ。Direct X10以前のタイトルだとその優位性は失われてしまうが、現在店頭価格4万円前後のHD 5870と同等以上のパフォーマンスは期待できる。店頭での実売価格をHD 6870が2万円後半、HD 6850が2万円前半と考えれば、コストパフォーマンスは大きく向上したと言えるだろう。
前シリーズからの性能向上という点でのインパクトは弱いが、本製品の登場により2~3万円の価格帯のビデオカードは性能、選択肢ともに充実した。HD 6870の価格と性能もさることながら、HD 6850の6ピン補助電源1つでこのパフォーマンスというのもかなり魅力的ではないだろうか。
すでにHD 5870やHD 5850クラスの製品を使っているユーザーにはあまり魅力的には見えないかもしれないが、年内には最上位となるRadeon HD 6900シリーズの投入が予定されている。ハイエンド志向ユーザーはこちらを待つのがよいだろう。
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