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SUPER GTに痛車が参戦! 初音ミク×GSRポルシェ密着レポート 第33回

ミクポルシェ、伝統の700kmレースを10位でフィニッシュ!

2010年08月25日 20時00分更新

文● 末岡大祐/ASCII.jp編集部 ●撮影/鉄谷康博、加藤智充、編集部

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関係者インタビュー

大橋監督

 予選のようにショートスティントであれば、短いスパンでタイヤの良いセッティングを出し、最大限の努力をすればタイムは出せることがわかりました。でも、ロングスティントというのはタイヤの状態、路面の状態、気温などが刻々と変わっていきます。その変わっていく環境のどこに合わせればいいのかという判断力を、さらに身につける必要があると痛感させられたレースでした。パーツを供給していただいているメーカーさんと、もっと密にテストをするというか、コミュニケーションを取る必要もありますね。例えばハンコックさんのタイヤでも、供給されたタイヤをそのまま使うんじゃなくて、我々ももっとタイヤのことを理解して、同等のレベルで話をしていかないと、10位より上を目指すのは難しいですね。

 木下選手の起用は大正解でした。セッティングから何から、まだまだこのチームに足りないものが浮き彫りになり、勝つためには何が必要なのかをみんな学ぶことができたと思います。もちろん、今までもいろんな努力はしてきたつもりですが、みんながいっぱいいっぱいで、余裕がなかった。それを今回是正できたのは非常に大きいと思います。それで予選も良い成績が残せましたからね。

 道具(マシン)をちゃんとしないとドライバーが活かせないという教訓を得ることができました。すぐに次戦富士がやってきますが、今回のことがとても役に立つと思います。

番場選手

 今回は50ラップほど走りましたが、集中してたせいか暑さも疲れも感じませんでしたね。マッハ号を抜けなかったのは悔しかったですね! たらればになっちゃいますけど、あと3周くらいあれば……。

 今回、クルマのセッティングは木下さんにやっていただきました。僕も木下さんがどんなクルマを作るのか見てみたかったので。しかし、それよりも何よりも一番知りたかったのが「レースウィークの組立て方」だったんです。金曜日はこういうことをして、土曜日の予選ではどういうことを考え、そして日曜日の決勝はどう走るのか。ベテランの人が何を考えてレースウィークを過ごすのか、学びたいと思ってました。僕も佐々木選手もパッとクルマに乗って、今はこういう状況だからこうしたほうが速い、ということは言えるんですけど、先の先を見越してこうしたいということを言えてなかったんだと思います。

 木下さんと過ごして、今シーズンで一番収穫があったレースでした。COXと佐々木選手はGTが初めて、GSRも今年は新体制、僕もAドライバーが初めて、と皆が初めてづくしのこのチームですが、長年レースを戦ってきたベテランの人が加わってくれたおかげで、みんな自分の成すべきこと、考えなければいけないことなどがハッキリとわかりました。結果は10位で悔しいですけど、僕も佐々木選手も、チームのみんなも、もっと周りが見えるようになって、次の富士戦に向けて大きな力になったんじゃないかと。チーム力が底上げされた感じです。全員が2ランクくらいレベルアップしたんじゃないかな。

 良いクルマを作るとか、良いタイムを出すってだけじゃなくて、レースウィーク全体を作りあげていくことができれば、富士は良い結果を出す自信があります! 今回の応援シートもとてもうれしかったので、次回もみなさん応援してください! ちなみに、サイリウムが見えたので、最後にクルマの窓から手を振ったんですけど、みなさん見えましたか?(※編集部:もちろん番場選手がゴール直後の直線で応援シートに寄ってくれて、手を振りながら脱輪しそうになった(笑)ところも、バッチリみんなで見てましたヨ!)

佐々木選手

 僕は3番手だったんですが、事前に木下選手や番場選手からタイヤや路面の状況などを聞いていたので、それを元にタイヤマネージメントに徹して走りました。そのお陰でタイヤを長く持たせることができたんですが、それでも残り10周くらいからキツかったですね。タイムが落ちちゃいました。

 クルマは木下さんが良い方向にセットアップしてくださったので、とても乗りやすかったです。僕のドライビングスタイルと合っていましたね。ただ、タイヤの温度域が合っていなかったようです。あとはブレーキパッドが合ってなかったので、フロントタイヤのマネージメントが厳しかったです。

 このポルシェにもだいぶ慣れてきましたが、まだまだここで満足できないですね。番場選手とは息もあっているし、仲良くやれているので、残すところあと2戦ですが、このチームワークで富士では表彰台に乗りたいですね! 

木下選手

 チームを支えてくれているファンの方々が、たくさんサーキットに足を運んでくれているこのチームで乗れるということが非常に気持ち良くて、ファンのために何かしないといけない、来てくれている方のために少しでも良い成績を残したいという、今まで感じてなかったドライバーとしての闘争心というか熱いモノに火がついた感じでした。チームも居心地がいいし、チームとファンの一体感が感じられて、僕が乗ったことが良い方向に繋がっていったら嬉しいですね。

 このチームはファンの皆さんが熱心で、「自分たちのチームでもある」という認識も感じたので、プレッシャーもありましたが、僕の走りに力をもらいました。皆さん、暖かいですよね。ファンがチームをサポートしてくれて、そのファンがサーキットに来て応援してくれて、チームがそれに応えるというこのスタイルは素晴らしいですね。僕もこの輪の中に入りたいと、正直に思いました。より近い距離でレースを楽しんで欲しいし、僕らもそれを結果でお返ししていきたいですね。

 今回のレース序盤のことですが、レースが始まったときに路面温度が52度まで上昇していて。僕らがチョイスしたタイヤというのは45~46度くらいの路面温度に対応したものだったんです。52度というのは想定外でした。最初の7~8ラップくらいはフィーリングも悪くなく、慌てることはないと落ち着いて走ってたんですね。しかし、10ラップくらいからグリップが急激に落ちてしまって、ブレーキを踏んでも止まらない、ハンドルを切っても曲がらない、要するに泥道を走っているような状態になってしまいました。これが遅れてしまった原因です。

 番場選手に交代する頃には路面温度も下がってきて、ようやく我々がチョイスしたタイヤがマッチングしてきて、タイムも落ちなくなってきました。これが序盤に苦戦してしまった一連の流れですね。

 予選のセットアップは良かったんですけど、決勝のセットが今ひとつ詰められてなくて、タイヤは予選で使用したものということもあり、グリップの落ち幅が大きかったのかなと思います。自分としては行きたいのに行けないという歯がゆさがあって、でも何とかしなくちゃいけない。マシンをコース上に留めるので精一杯でした。ファンの方たちも悔しい思いをしたかと思いますが、僕もそれ以上に悔しかったです(笑)。でもこれが経験として、みんなが応援してくれているミクポルシェが、次に向けてさらに良くなる要因を見つけ出せたということは、プラスになるのかなと思ってます。

 GT3Rはポテンシャルが非常に高いのですが、まだセッティングが合わせきれてない状態ですね。合わせきれてないんですけど、次にやることは明確になっているので、それをメカに伝えてキッチリ仕上げてもらえればまだまだ速くなりますね。その感触も掴んでいます。だからこそ予選で4番手になれたワケですし。あとは路面に合ったタイヤ、それを労るサスペンションのセッティングを進めていければ上位陣とも戦っていけると思っています。ファンの人たちが握り拳を振り上げて「行けー! 行けー!」となっちゃう、面白いレースが見せられるんじゃないでしょうか。

(次ページへ続く)

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