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1ラック1億円のハイエンドだからこそ実現するパワー

数日仕事を数秒へ!事例で見るOracle Exadataの威力

2010年04月12日 09時00分更新

文● 渡邉利和

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日本オラクルは4月9日、Oracle Exadataの製造業や流通業でのユーザー事例やPOC(Proof of Concept:概念検証)の結果を紹介する説明会を開催した。

オラクル初のデータベースアプライアンスは全産業で採用

 「Oracle Exadata」は、2008年9月に米サンフランシスコで開催されたOracle Open Worldで同社初のハードウェア製品として発表された「高速データベース・アプライアンス」といった位置づけの製品だ。翌2009年にはオラクルがサン・マイクロシステムズの買収を発表したことを受けて主要ハードウェア・コンポーネントがサン製のものに置き換えられた「Oracle Exadata Version 2」が発表され、性能も2倍に引き上げられた。

 当初の発表では、その高速性を活かす用途としてデータウェアハウスによるデータ分析やOLTP(オンライン・トランザクション処理)が挙げられていたが、同社自身の想定を超えた多様な用途がユーザー企業による工夫の結果生まれているのだという。

 同社の常務執行役員 ライセンス事業 システム事業統括本部長の三澤 智光氏は、Oracle Exadataの販売実績について、「日本での販売開始からちょうど約1年が経過したところで、具体的な数は公表できないが“数十セット”販売できた。数十の“数”はけっこう大きい方の数字で、高額なシステムであることを考えればかなりいい成果だ」説明した。

常務執行役員 ライセンス事業 システム事業統括本部長の三澤 智光氏

 また、「こうしたハイエンドのシステムはまずテレコム業界などから導入が始まると一般にいわれているが、Oracle Exadataに関しては全産業分野で採用が決定した事例が揃った」と明かした。その実績の一端を紹介するのが今回の説明会の趣旨である。

ハイエンドだからこそできる

 Oracle Exadataは、順調に性能向上が進むプロセッサーに比べてストレージ・デバイスやI/Oスループットの性能向上が進まないことがボトルネックになってきている現状を踏まえ、現時点で利用可能な最新技術をふんだんに投入して「データベース専用ハードウェア」として設計することでデータベースアクセスの実効パフォーマンスを大幅に引き上げることを狙ったアプライアンス製品だ。

 アプライアンスといっても、フルラック構成で1億円を超える高額システムなのだが、その価格だからこそ実装可能なハイエンドのハードウェアを採用している。ベースとなっているのはXeonプロセッサー搭載のIAサーバーで、フルラック構成時の場合、8台のデータベースサーバと14台のストレージサーバー(SATAまたはSAS HDDを搭載)をInfiniBandスイッチで高速に相互接続する。Exadata V2ではサン由来の技術である「FlashFireフラッシュカード」がキャッシュとして利用され、I/Oレスポンスが10倍高速化されたという。

 こうした性能が、さまざまな産業分野のユーザー企業によってさまざまな使われ方をし始めており、大きな成果を挙げているという。同社のシステム事業統括本部 データベース製品ビジネス推進本部 エンタープライズ・データモデル&Exadataビジネス推進部 マネジャーの安池 俊博氏は、「製造業・流通業におけるOracle Exadata適用・検討例」として、ユーザー企業とオラクルが共同で行なったPOCの結果などを交え、Oracle Exadataがどれほど劇的にビジネスの有り様を変えるのかについて紹介した。

システム事業統括本部 データベース製品ビジネス推進本部 エンタープライズ・データモデル&Exadataビジネス推進部 マネジャーの安池 俊博氏

BOMの例では所要時間が37分の1へ

 製造業の例では、データベースの典型的な用途としてBOM(Bills of Materials、部品表)の例が紹介された。ある企業では、BOMの更新はバッチ処理で行なわれ、更新開始から終了まで6時間を要していたため、頻繁には実行できないという問題を抱えていた。ところが、Oracle Exadataに置き換えることで所要時間が37分の1に削減され、数分程度で更新処理が完了するようになったという。

大手製造業でのPOCの結果。BOM情報集約処理に要する時間が従来の37分の1に短縮された

 また、一般的なBOMの構成では、最終製品を基準として、その製品にどの部品が使われているかは簡単に調べられるが、逆に部品の方を出発点として「この部品が使われている製品はどれか」という検索に対応するようには作られていないのだという。そのため、ある部品の製造不良などが発見され、製品のリコールにつながった場合などには、当該部品が使用されている製品をすべてリストアップするという作業が必須になるが、これは大変負担の重い作業で、自動車メーカーなどの例でも数日がかりになるのが当然という状況だったそうだ。

 しかし、Oracle Exadataではデータベースに格納されたデータすべてをチェックするような全件検索の高速化を狙って設計されていることもあり、BOMのデータ構造を変更することなく、単に「全製品のBOMデータをしらみつぶしにチェックして当該部品が含まれているかどうかを見つけ出す」という“BOMの逆展開”も短時間で実行可能だという。この作業をある大手製造業がOracle Exadataを使って検証したところ、従来手作業で数日かけて行なっていたBOMの逆展開が数秒単位に短縮された例もあるという。

 ユーザー企業がITを活用する動機は主に「業務の効率化」にあるわけだが、処理の内容によっては期待したほどの効率化が実現できない例も珍しくはない。データベースの全件検索はそうした例の1つだったわけだが、Oracle Exadataはその圧倒的な性能によって従来の常識を覆してしまったのだといえるだろう。

日本オラクル本社内のマシンルームで稼働中のOracle Exadata(フルラック構成)ラックのちょうど中央部に黒く見えているのがInfiniBandスイッチで、これを挟んで上下に各4台のデータベースサーバーがあり、さらにその上下にストレージサーバが積まれている。このラック1本で1億円超となっている。

 三澤氏は最後に、「ユーザー企業の要望は、突き詰めると“処理のリアルタイム化を実現したい”というところになるが、これまではリアルタイムというまでには至らず、プロセスのリアルタイム化に留まっていた。しかし、Exadataによって処理エンジンのリアルタイム化が実現できた」という。また、この取り組みがOracle独自であることを踏まえ、「他のデータベースベンダーはOracleから見ると“間違った方向”に進みつつあるように見える。つまり、OLTP用データベースとDWH用データベースを分化し、それぞれ要求される性能に特化した専用設計に仕様としているようだ。しかし、分化してしまうと相互接続やデータのやりとりが不可避的に発生するので、その時点ですでにリアルタイム化ができなくなってしまう。一方、Oracle ExadataではOLTPもDHWもまとめてすべての処理を高速化できる。そのため、ユーザー企業は“最新の更新データを次の業務プロセスに活かす”ことができるようになる」と語り、データベース処理の高速化がユーザーにどのようなメリットをもたらすのかを強調した。

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