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小文字の「c」はもちろんクラウド!

DBからクラウドまで一気通貫!Enterprise Manager 12c

2011年11月10日 09時00分更新

文● 渡邊利和

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11月9日、日本オラクルはシステム管理製品「Oracle Enterprise Manager」の最新バージョンである「同12c」の12月6日からの国内提供を発表した。メジャーバージョンアップとなる今回は、プライベートクラウドの管理機能まで盛り込み、「オラクル製品群の管理と、エンタープライズ・クラウドの導入から運用までのライフサイクル管理全体を組み合わせる業界初のIT統合管理ソリューション」を謳う。

製品名の小文字は「g」から「c」

 Oracle Enterprise Managerは、元々はOracle Databaseのための運用管理ツールとしてスタートしたが、段階的に機能を拡張し、管理対象も拡大してきた。前バージョンである11gでは「ビジネス主導のアプリケーション管理」を掲げ、その管理対象を“Application to Disk”(最上位のアプリケーションから、サン買収でポートフォリオに加わったストレージ・ハードウェアまでの全構成要素を指す)としていた。そして今回の12cでは“Total Cloud Control”というメッセージを掲げており、企業のプライベートクラウド環境全体を管理対象とする包括的で統合的な運用管理ソリューションへと進化した。なお、バージョン番号の後に続く英字は、その時代ごとのキーワードを示すもので、古くは「インターネット対応」を意味する“i”から始まり、全バージョンまでで使われていた“g”は「グリッド」を意味していた。同社としてはクラウドという語が一般的に語られるようになる以前からグリッド技術に取り組んできたという自負からか“g”を使い続けていたが、ついに“c”に変更された。もちろんこの“c”は「クラウド」の意味となる。

米オラクル・コーポレーション アプリケーション/システム管理担当 バイスプレジデント レン・タン氏

 製品の概要説明を行なった、米オラクル・コーポレーションのアプリケーション/システム管理担当バイスプレジデントのレン・タン氏はEnterprise Manager 12cは「3年間かけて開発し、200の新機能を実装した」メジャー・バージョンアップだとし、大きく「クラウドライフサイクル管理」「クラウドスタックの統合監視」「ビジネス視点によるアプリケーション管理」の3種の機能が備わると紹介した。

Oracle Enterprise Manager 12cがカバーする主要な3つの領域

 クラウドライフサイクル管理では、計画、セットアップ、構築、テスト、デプロイ、監視、管理、メーターと課金、最適化、というライフサイクル全体にわたる管理が可能だという。中でもアプリケーションのパッケージ化機能である「Oracle Virtual Assembly Builder」では、全てが仮想化インフラであるOracle VM上で稼働する「Webサーバ」「アプリケーションサーバ(WebLogic Server)」、「データベース(Oracle Database)」からなる典型的な3階層システムのトポロジー全体をアプリケーションのパッケージとしてOracle Enterprise Managerのソフトウェアライブラリにアップロードしておくことで、ユーザーがセルフサービスでデプロイできるという。また、ユーザーアプリケーションのテストツールまで含まれているのは、さすがにJavaアプリケーションサーバーであるWebLogic Serverを買収しただけのことはあるというべきか。データベースや同社のミドルウェア製品群は、ユーザー開発のアプリケーションのための基盤を提供するものであり、ユーザー独自のアプリケーションとの組み合わせが最初から考慮されているということだろう。

 このほか、クラウドスタックの統合監視に属する機能群では、稼働しているアプリケーションを検出し、そのパフォーマンスを監視したり、データベースのパフォーマンス診断機能が拡張されていたりといった具合で、アプリケーションの動作の詳細にまで踏み込んだきめ細かな情報収集が可能で、こうした詳細情報に基づいた運用管理が実現できる。また、ビジネス視点によるアプリケーション管理では、アプリケーションのパフォーマンスをユーザーごとに監視してSLAを満たせているかどうかをチェックするなどの機能も盛り込まれる。

すべてオラクルの環境では最強

 ヘテロジーニアスな環境を前提とした運用監視ツールでは、標準プロトコルであるSNMPに基づいて情報収集を行なうが、Oracle Enterprise Managerでは、オラクル製品の運用管理に利用することが前提となっているため、マルチベンダー環境では他のツールと組み合わせる必要が生じるものの、オラクル環境でなら他のツールでは実現できないだろうと思われる詳細かつ統合的な管理が実現できる。同社の専務執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括兼テクノロジー製品事業統括本部長の三澤 智光氏はこの点を評して「OSより上のレイヤーが全てオラクルの製品スタックで構成されている場合にはOracle Enterprise Manager 12cが最強の管理ツールだ」と語った。

日本オラクル 専務執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 兼 テクノロジー製品事業統括本部長 三澤 智光氏

 同時に同氏は、日本国内のユーザーはまだEnterprise Managerをデータベース管理ツールとしてのみ利用している例が大半だとも明かし、ユーザーの認知を得るためのさらなる努力が必要だとの見解を示している。オラクルの製品スタックはサンの買収によってハードウェアの領域まで拡大し、ハードウェアとその上で稼働するソフトウェア全てがオラクル製品のみで構成されているシステムも容易に実現できる状況になっている。こうしたシステムを運用しているユーザーであれば、同氏のいうとおりOracle Enterprise Manager 12cはベストチョイスとなるだろう。逆に、すべてをオラクル一社に依存する状況になることに抵抗を感じるユーザーの場合は、Enterprise Manager 12cによって実現できる高度な管理性とヘテロジーニアスな環境を維持するメリットとを天秤に掛けて悩むことになりそうだ。

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