週刊 PC＆周辺機器レビュー 第46回

多機能でも省エネな無線LANルーター WZR-HP-G301NH

液晶テレビ1台分の電力消費を削減！

　ユニークな機能をもうひとつ紹介しておこう。スケジュール設定にしたがって本体の動作状況をこまかく調整できる「おまかせ節電機能」がそれだ。WZR-HP-G301NHには、「通常動作」「スリープ」「ユーザー定義」の3種類の動作モードがあり、どのモードを使うのかをウェブ設定画面から、曜日・時間(30分単位)で設定できる。

　スリープモードは有線/無線LAN機能とインジケータランプを停止する(待機電力のみを消費している状況)で、ユーザー定義ではインジケーターランプのオン/オフ、有線LANの通常(1000BASE-T)/低速(100BASE-T)動作、無線LANのオン/オフが指定できる。これらを組み合わせることで、使用状況に応じて消費電力の無駄を防ごうというわけだ。

　アクセス制御を目的としてスケジュール機能を実装したブロードバンドルーターは、ほかにも存在する。また、セキュリティー機能として無線出力の増減やオン/オフを制御できる無線LANルーターもあった。しかし、省エネという観点からスケジュール制御を可能にしたのは、WZR-HP-G301NHの大きな特徴ではないだろうか。ユーザー定義をうまく使えば、「日中はゲーム機などのアクセスに無線LANだけを使う」といったセキュリティー的な使い方もできる。

エコ機能では、曜日・時間指定で3つの動作モードを使い分けられる

ユーザー定義モードでは、ランプや有線/無線LANの電力を個別に設定可能

　ただ、WZR-HP-G301NHの消費電力は最大でも14Wと、そもそも少ない。無線LANの機能がよく似た従来製品「WHR-HP-G300N」(最大4.95W)と比べれば、簡易NASや有線LANポートのGigabit対応などで消費電力は増えているのだが、それでも電球型蛍光灯1個程度である。ちなみに同社サイトでの実測値は、最大通信負荷時に10W、通信負荷停止時に7.3W、おまかせ節電時に3.1Wとなっている。

　この数値だけを見ると節電効果は大きくないように思えるが、常時電源を入れているネットワーク機器となると話は別だ。たとえば、就寝や勤務時間にスリープモードにすると1日16時間、年間では40.3kWhの節電となる。電気料金にすれば880円程度でしかないが、最新の省電力指向の32型液晶テレビの年間消費電力量とほぼ等しいものだ。積極的に使いたい機能と言えよう。

WZR-HP-G301NH　の主な仕様
無線LAN規格	EEE802.11b/11g/11n
無線周波数帯	2.4GHz帯(1～13ch)、20MHz幅/40MHz幅
無線接続速度	最高300Mbps(11n)、54Mbps(11g)、11Mbps(11b)
セキュリティー	WPA2-PSK(AES/TKIP)、WPA-PSK(AES/TKIP)、 WPA/WPA2 mixed PSK、WEP、 プライバシセパレータ、Any接続拒否、MACアクセス制限
無線アンテナ	内部1本、外部2本(送信3本、受信3本)
有線LAN	LAN側×4(1000BASE-T)、WAN側×1(1000BASE-T)
サイズ	幅165×奥行き30×高さ158mm(縦置き時)
質量	約338g
価格	1万3600円

筆者紹介─池田圭一

月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット＆グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。

■関連サイト

• WZR-HP-G301NH
• バッファロー