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週刊 PC&周辺機器レビュー 第46回

多機能でも省エネな無線LANルーター WZR-HP-G301NH

2010年03月05日 19時12分更新

文● 池田圭一

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300Mbps対応の高速無線LAN
目的別の設定ウィザード「かんたん設定」を用意

 肝心の無線LAN機能についてだが、WZR-HP-G301NHは2.4GHz帯の802.11b/g/nに対応し(11aは非対応)、MIMOの2ストリーム通信やデュアルバンドを使うことで、最高300Mbpsでの無線接続が可能である。では「実際にどれだけの速度でデータのやり取りが可能か?」と言うと、同社では至近距離での通信の場合、接続速度300Mbpsで実効データ転送速度は110Mbps程度としている。

 今回は残念ながら300Mbps接続に対応する無線LAN子機を用意できなかったのだが、簡単なファイル送受信テストでは次のような結果となった。テストはWZR-HP-G301NHに1000BASE-Tでデスクトップ機を接続し(ジャンボフレームOFF)、隣の部屋にあるノートパソコン(内蔵無線LAN機能使用)との間で数回のファイル転送速度を計測した。接続時の速度は、Windowsのワイヤレスネットワーク機能で接続時の速度。

ThinkPad X61s ThinkPad X100e
接続時 144Mbps 接続時 150Mbps
実効 55~60Mbps 実効 70~80Mbps

参考 802.11nの通信レート

 Ⅰ3基のアンテナを用いたMIMOでの2ストリーム(送信2系統、受信2系統の2×2)、Ⅱデュアルバンド(40MHz幅)、ⅢGI(ガードインターバル)の短縮 このすべてを同時に親機・子機ともに満たす場合のみ、接続速度が300Mbpsとなる。

バンド幅 20MHz/チャンネル X61s内蔵(20MHz/チャンネル) X100e内蔵(40MHz/チャンネル)
規格 ストリーム数(GI) 800ns 400ns 400ns
802.11n 1ストリーム(1×1) 65Mbps 72.2Mbps 150Mbps
2ストリーム(2×2) 130Mbps 144.4Mbps 300Mbps
3ストリーム(3×3) 130Mbps 144.4Mbps 300Mbps
4ストリーム(4×4) 260Mbps 288.9Mbps 600Mbps

 高機能ルーターの設定は非常に難解なものになりがちだが、WZR-HP-G301NHでは設定画面のトップに、「かんたん設定」として8項目のウィザードを用意してある。上部のメニュータブから、個々の機能の詳細設定も可能だが、とりあえず使うだけなら、このウィザード設定だけでおよそ十分だろう。ウィザードに従えば余計な設定項目を見ることもないので、初心者にもとっつきやすい。

ウェブ設定画面

有線LANでWZR-HP-G301NHに接続した直後のウェブ設定画面。左の「かんたん設定」でひととおりの初期設定ができる

「かんたん設定」から「11n倍速モード/無線の基本設定をする」を実行

「かんたん設定」から「11n倍速モード/無線の基本設定をする」を実行。デフォルトでは最高150Mbpsの非倍速(20MHz帯域)となっているので変更しておこう


USBディスクを接続しての簡易NAS機能

 家庭向けの比較的安価な無線LAN製品として、300Mbps接続は今のところのトップレベルである。これ以上のものは次世代の無線LANチップを待つか、負荷分散などの高コストな仕組みが必要になってくる。そこでWZR-HP-G301NHでは着眼点を少し変えて、機能を拡充してきた。そのひとつが、USBディスクのネットワーク共有を実現する簡易NAS機能だ。

 ルーター背面のUSBポートに、USBメモリーやUSB HDDなどWindowsからストレージとして認識できる機器を接続すると、ネットワーク上に共有ディスクとして公開できる。使い方も簡単で、基本的にはつないで電源を入れるだけでいい。同社によればUSB接続HDD、USBメモリー、シリコンディスク、カードリーダー(のメモリーカード)などが利用できるという(関連サイト)。

USBディスクポートにポータブルHDDを接続してみた

USBディスクポートにポータブルHDDを接続してみた。パーティション単位で自動的に共有フォルダとしてネットワーク上に公開される

 ファイル置き場としてのNASのほか、デジタルカメラで撮影した写真や音楽ファイルなども手軽にLAN内で共有できる。共有フォルダにはユーザー名とパスワードを用いてのアクセス制限も可能だ。なお、USBバスパワー動作対応製品には非対応のため、ポータブルHDDなどでは別途電力供給が必要になる。

Windows 7から見ると、簡易NASは「コンピューター」(画面のWIFI-TEST)として見え、その中に共有ディスク(マウントしたパーティションの全フォルダー)がある

 手持ちのUSB HDDやUSBメモリーなどを片っ端からつないでみたが、残念ながら正常に動いたのはごく一部だった。どうやら、WZR-HP-G301NHが認識できるパーティション情報はかなり限られるようで、つないだ機器のほとんどが「未フォーマットディスク」として認識されてしまった。FATでも認識できる場合とできない場合があるので、「このフォーマットなら大丈夫」とは言えないようだ。大量のデータを蓄積するNASとして使うなら、WZR-HP-G301NH専用としてUSB HDDを用意し、WZR-HP-G301NHからフォーマットするのが確実かと思われる。

 なお、この簡易NAS機能と関連して、BitTorrent機能を持つ。これは接続したUSB HDDなどを保存先として、WZR-HP-G301NHに内蔵されたBitTorrentクライアント機能により自動ダウンロードを実現するものだ。ほかにもDLNA対応のメディアサーバー機能や、ネットワーク接続されたパソコンに対して起動信号を送る「WOL」、個々のパソコンの共有フォルダーに対して、WZR-HP-G301NHを経由してアクセスするリモート機能がある。これらは、設定によってはインターネットの外からでもアクセスできる。

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