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山谷剛史の「中国IT小話」 第61回

購入注意!?今年中国で報道されたIT系ニセモノあれこれ

2009年12月22日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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ショップPCは各パーツのブランド名もチェックせよ!

 最近中国ではノートパソコンの所有者が増えたが、依然としてショップブランドのパソコンが人気だ。しかし、そこにも落とし穴がある。「PC Online」が国慶節・中秋節前の9月に掲載した記事では「近年はノンブランドPC電源が多種多数流通しており、壊れやすく供給電力も不安定で買わぬが吉」となっている。PC Online以外でもIT系ニュースサイト「PCPOP」や紙のIT系新聞「電脳報」など数誌、数サイトで、メーカー製よりもノンブランド製品はずっと不安定でお勧めしないという内容の記事を掲載した。

 昔からニセモノが多いパーツはメモリーだ。メモリーチップは深センで取引され、深センなど中国国内で半田付けされ製品化される流れもあるだけに、ニセモノの話題は多い。ニセモノは「Kingston」や「Apacer」や「Hynix」などの世界的なメモリーメーカーに特に多く、判別方法は様々なサイトやメディアで紹介された。CPUやHDDでここ2、3年は、リマーク品などのニセモノの話は聞かない。

七彩虹のビデオカード

七彩虹のビデオカード

 ビデオカードやマザーボードなどの板モノにも注意。中国の板モノメーカーの中では人気トップのメーカー「七彩虹」は今年3月、「(同社製品の)品質の悪いニセモノが流通している。オンラインショッピングで購入を控えるように」と訴えた。

 また「電脳報」は、「GeForce 8400GS」や「8600M」について、BIOSをハッキングし「GeForce 9600GT」のBIOSアップデートプログラムを入れ、GPUをリマークした上で、「GeForce 9600GT」として販売されていることを紹介。GPUにやすりで削った後がないか購入時にできるだけチェックするよう勧めている。

MSIならぬMISのビデオカード

同じく、MSIならぬMISのマザーボード

 IT系ニュースサイト「中関村在線」は今年3月の記事で、同じくリマーク品問題に対し「ニセモノかどうかはカード背面のバーコードが書かれたシールが正しいモノかどうかチェックをすること」と判別方法を紹介。ニセモノではないが、国際的な板モノメーカー「MSI」ではなく「MIS」という中国発の板モノメーカーもあり、ショップがパソコンに詳しくない客に対し「国際的で高価なMSIのマザーボードを導入する」と説明しておきながら安価なMISのマザーボードを入れるケースがあるという話も。


携帯電話はニセモノ多数

携帯電話市場でもトラブルはつきもの

携帯電話市場でもトラブルはつきもの

 ノンブランドの激安ケータイ「山寨機」は、今年の年末も相変わらず低所得者層に人気だ。山寨機工場も活況で、それっぽいニセモノケータイどころか、メーカー製ケータイそのものの模倣品も多数登場し、確認されるたびに度々誌面で紹介され、ニセモノをつかまないよう注意勧告がでた。ケータイ絡みのニセモノの話題は最も多く、そもそも日本では使えないものなので無数にある実例の紹介は省かせていただく。

 だがケータイ絡みのニセモノは本体だけで終わらない。「iPhone」や高価なスマートフォン、それにケータイではないがメディアプレーヤーとして人気の「プレイステーション・ポータブル(PSP)」など高価なデジタルガジェットを購入した中国人の中には、末永く使おうと保護フィルムを貼る人が多い。またそのニーズから繁華街や電脳街周辺では、路上に保護フィルム貼り屋が座って客を待っている。その保護フィルムが品質の悪いニセモノでトラブルが起きるということもあるようだ。

路上の保護フィルム屋

路上の保護フィルム屋

 11月発売の「電脳報」の記事では、品質の悪い保護フィルムは「一度貼ると剥がしたときに残骸が残る」「貼っても保護機能がなく、使っていると本体に傷がつく」「粘力不足ですぐ剥がれる」など特徴があると紹介。さらに「路上で売られているのはもちろん、一見まともそうな店で飾られている保護フィルムですら、日本語や英語がちりばめられているが、肝心のメーカーが不詳」とあらゆる場所で品質の悪い保護フィルムが売られていることを紹介し「列悪な保護フィルムは市場から消えるべき」と締めている。

 ざっと紹介したが、ITのジャンルに絞ってこれなのだから、全製品ジャンルではどれだけニセモノがあるのだろう。これだけ詐欺のような商品がまかり通り、ニセモノが流通し、ぼったくられるのだから中国で買い物上手になるには、それなりに失敗を通じて勉強する必要がある。筆者自身も中国ではさんざんぼられ、勉強した。電脳街での買い物もそうだが、オンラインショッピングは知識経験不足だと特にトラブルになりやすい。

 11月のIT系経済誌「IT経理世界」の「インターネットの良心を捜す」という記事にこんな一文がある。

 「淘宝網とデパート、それぞれでそれなりの金額の服を買って騙されたと感じたとき、淘宝網とデパートに対して感じる気持ちは違うだろう。淘宝網では騙されても諦めるだろう。キーワードは、多くの人々がオンラインショッピングではニセモノと隣り合わせであることを認識しているということだ」

 オンラインショッピングでは中国人ですらニセモノをつかまないように慎重に買い物をしているのだ。非中国人が買い物で騙されるのは何らおかしいことではない。中国での買い物は中国人の平均所得がさらに上がるだろう来年もご注意を。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)

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