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西田 宗千佳のBeyond the Mobile第30回

シャープの新モバイル端末 NetWalkerを最速レビュー

2009年08月27日 13時30分更新

文● 西田 宗千佳

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良くも悪くも「素のUbuntu」 今後のモデルにも要注目

標準搭載のOpenOffice.org 標準搭載のOpenOffice.org。起動には少々時間がかかるが、動き始めてしまえば特に動作の遅さは感じない

 ソフトウエア的な面も見ていこう。前述のとおり、NetWalkerのOSはUbuntu 9.04。ARM版で、シャープの手による独自のカスタマイズがされているとはいえ、UbuntuはUbuntuであり、機能カット版ではない。アプリケーションには、Firefoxに電子メールソフト「Thunderbird」、カレンダーソフト「Sunbird」、そしてOfficeスイート「Openoffice.org」といった、Linux系ではおなじみのソフト群が組みこまれており、普通に利用できる。

PDFの表示も美しい PDFの表示も美しい。資料などをPDFで持ち歩き、外で確認するなどの用途にも向きそうだ

 “素のUbuntu”ということは利点でもある。x86 CPU向けのソフト(バイナリー)をそのまま利用はできないが、ARM用のものはもちろんOK。Linuxの場合、ソフトは「リポジトリ」と呼ばれるソフト置き場からダウンロードして組みこむのが基本なので、そのルールさえ守るならば、CPUの種類などをあまり気にせず、ソフトを組みこんでいける。

 またシャープは、NetWalker専用のリポジトリを作り、組みこむ用意をしている、とのことなので、「自分でソフトを探して組みこむ」のも決して難しくはない。ただし、Windowsとはかなりカルチャーが異なるので、多少の勉強は必要になる。

NetWalkerのデスクトップ デスクトップに最初からアイコンが配置され、ランチャー代わりに使える。単純な方法だが、それだけにカスタマイズも容易だ

 上の画面のように、ランチャー的に見えるホーム画面も用意されているが、これはランチャーではなく、単に「大きめのアイコンを配置したデスクトップ」に過ぎない。Linuxザウルスの時代は、同社オリジナルのランチャーがあったが、そういったオリジナリティーの高いソフトは、NetWalkerには見られない。

 ちょっと変わっているのは、「Twitter」へのリンクがアイコンとして配置されているところだろうか。とはいえ、あくまでリンクであり、専用クライアントが組みこまれているわけではなない。Twitterに直接アクセスして利用する。キーボードがあることもあり、「つぶやき」やすいだろう、という配慮だろう。


マウスの代わりにオプティカルポイント

 シャープオリジナルのソフトという意味では、ドライバー周りのものが挙げられるだろう。NetWalkerには、キーボードの上にタッチセンサーを使ったクイックスタート・ボタンと、マウス代わりに使う「オプティカルポイント」が組みこまれている。クイックスタート・ボタン右端の「☆」マークは、オプティカルポイントのモード変更に使う。

 通常オプティカルポイントは、ノートパソコンのトラックポイントと同様の動作をする。そこで☆マークをタップすると、「スクロールモード」に切り替わる。その状態で指を上下・左右にずらすと、ページがその方向にスクロールする。ウェブやPDFなどの閲覧時に効果的だ。なお、ディスプレーにはタッチセンサーが搭載されており、そちらで操作することも可能だ。

クイックスタート・ボタンのカスタマイズ用ソフト クイックスタート・ボタンのカスタマイズ用ソフト。どのソフトを起動するのか、といったことは自由に変更できる
「ポインター」モード 「スクロール」モード
クイックスタート・ボタンの右端は、オプティカルポイントのモード変更に使う。左は通常の「ポインター」モード、右は「スクロール」モードでの表示。画面上の通知領域で見分けられる

 コンパクトですぐに使えて、フル機能のUbuntu+Firefoxが使える、というのがNetWalkerの魅力といっていい。マシンパワーの問題もあり、動作速度は決して速くない。だが「見られないウェブ」もほとんどなく、文書作成能力もパソコンと遜色ない。「パソコンとは違う機器だから」というエクスキューズがいらないのは、Linuxザウルス時代とあきらかに違う。

 試作機では、キーのタイプ感がぐらぐらしてあまり感心しなかったが、この点は改良中とのことなので、最終的な評価は製品版でくだしたい。どちらにしろ冒頭で述べたように、机の上に置いて使うより、両の親指で打つのに向いた機器である。

 現状では使いこなしにUbuntuの知識が必須であり、Windowsしか知らない人には敷居が高いのも事実だ。しかし、小型・軽量・長時間駆動に魅力を感じる人にはお勧めできる。シャープは今後、継続的にNetWakerブランドの製品を投入していく計画を持っているという。第1弾は「素のUbuntu」であったが、それが最終的にどのような形になっていくか、興味深い。

オススメする人
・かさばらない「ネット端末」を求める人
・Windowsのネットブックに物足りなさを感じている人
NetWalkerの主な仕様
CPU Freescale i.MX515
メモリー 512MB
ディスプレー 5型ワイド 1024×600ドット
ストレージ フラッシュメモリー 4GB
無線通信機能 IEEE 802.11b/g
カードスロット microSD/SDHCメモリーカードスロット
インターフェース USB 2.0、miniUSB 2.0、ヘッドホン出力
サイズ 幅161.4×奥行き108.7×高さ19.7~24.8mm
質量 約409g
バッテリー駆動時間 約10時間
OS Ubuntu 9.04(シャープカスタマイズ版)
予想実売価格 4万5000円前後(9月下旬発売)

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」(朝日新聞出版)。


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