機能、コスト、使いやすさ
3拍子揃ったバラクーダのロードバランサ
こうして悩んでいたところに迷惑メール対策のアプライアンス「Spam Firewall」で高いシェアを誇るバラクーダが、既存製品の10分の1という低価格なロードバランサを出すという情報を宮田氏は聞きつけた。調べてみると、「Barracuda Load Balancer」はレイヤ4対応のモデル240で36万5000円、レイヤ7対応でSSLのターミネーションを加えたモデル340でも48万円で済むという。スペック等を調べた宮田氏は、「うちの要件はまずサーバの負荷分散がきちんと行なえること、価格が手頃なこと。そして専任のSEを置かなくても利用できるというものでした。その点、バラクーダのロードバランサは価格面でも、機能面でも、まさにうってつけでした」とひと目惚れしたようだ。
ただ、導入までにはもう1つ関門があった。青山学院大学のネットワーク構成がかなり複雑という点だ。現在の青山学院大学のネットワークは、大学と短大、学部などの組織、研究系や基幹系、事務系などの用途で、ファイアウォールに守られた異なるグループとして分割され、それぞれをコアスイッチで相互接続するという構成になっている。その結果、1つのシステムであっても、WAN側の異なるグループにあるサーバやデータベースにアクセスする必要が生じているのだ。
そのため「履修登録システムをインターネットから利用する場合、まずは基幹ネットワークの認証システムにアクセスし、OKだったら、ロードバランサが適当なサーバに振り分けます。さらに、履修登録システム側では、学生ごとの履修状況を取得するために、再度別のネットワークにあるコンテンツサーバにアクセスすることになります」(宮田氏)とのこと。また、携帯電話からのアクセスに対応するため、いったんリバースプロキシを経由して、目的のコンテンツにアクセスする接続形態もサポートしていなければならない。こうした複雑な通信の流れに果たしてバラクーダの製品が対応できるのか、不安だったというのが本音だったようだ。そのため、まずは貸出機を用いて、検証することにした。
結果として、宮田氏の不安は杞憂だった。ユーザーのリクエストは、Barracuda Load Balancerに割り当てられた仮想IPアドレス宛に送信され、認証を経て各サーバに振り分けられる。そして、各サーバからWAN側への通信はロードバランサからコアスイッチに渡され、静的な経路設定により、各サーバに振り分けられることになる。結果として、Barracuda Load Balancerはバックエンドにあるサーバと他のネットワークのサーバとの通信を適切に中継し、一貫性を持ったサービス提供を実現できることがわかった。
2008年の3月にBarracuda Load Balancerのファーストユーザーとしてモデル340を導入することになり、バラクーダネットワークスが導入支援やサポートを行なった。導入作業自体はすべて宮田氏などが担当したが、日本語GUIメニューだったので、設定は容易だったという。宮田氏は「基本的には仮想IPアドレスと実サーバをひも付け、アルゴリズムなどをチェックボックスで選択するだけです。ですので、ネットワーク構成さえきちんと設計してあれば、エンドユーザー自身でも十分設定可能だと思いますよ」とコメントしている。
(次ページ、履修登録のピークを余裕でこなす高いパフォーマンスと信頼性)
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