天使でも美少女でもない、ただひたすら「音源」なのだ
ニコニコ動画の音楽ジャンルを独占しつづける「初音ミク」。人気曲を収録したCDも次々リリースされ、オリコンチャートにランクインしても驚かなくなってきた。だが、オリコンチャートでもそうだが、ランキング上位のヒット曲だけを聴いていると「ポップなキャラクターソングしか存在しないのでは」という先入観を抱いてしまいがちだ。
そのとき「いい年した大人が聴くものじゃないでしょ?」とすまし顔で済ませてしまうのは簡単だが、それはそのつど流行のものを聞き流しているという残念な事実を証明しただけだ。実際にニコニコ動画の中を探してみれば、初音ミクを「美少女」や「歌姫」ではなく、1つの「音源」としてとらえ、面白い音楽を作っている作家が山ほどいる。
そこで今回はASCII.jp編集部が独断と偏見により、「いい大人」が聞くべきと思われる初音ミクサウンド20曲を選んできた。気に入った曲があれば、ぜひマイリストに登録してヘビーローテーションナンバーにしてもらいたい。それではさっそく紹介しよう。
クラブミュージック編
1. インカーネイション / 鼻そうめんP
開始30秒の重低音に一発でやられるトランスミュージック。曲は「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」でイラストレーターとして活躍し、さらにはトランス界のカリスマ「hiroyuki_ODA」の別名も持つマルチクリエイター、鼻そうめんP(インタビュー記事)。「プラグアウト」や「YOUTHFUL DAYS' GRAFFITI」なども合わせて聴いておきたい。
主なタグ: ミクトランス/鼻そうめんP/VOCALOID殿堂入り
2. (spilled 4 minutes from) Liquid Metal feat. 初音ミク / ハイネケンP
スピーカーの左右を軽やかに飛び回るようなサウンドがくせになる、さわやかなエレクトロニカ。プロデューサーはハイネケンP。自ら撮影したものという写真は透明な空気感があり、曲とともに独特の世界観を作りだしている。通好みのVOCALOIDサウンドを集めた「アングラカタログ」に分類されているが、予備知識なしでも聴きやすい1曲だ。「Needle Nectar feat. 初音ミク」「Sweet feat. 初音ミク」なども必聴。
主なタグ: ミクトロニカ/アンダーグラウンドボカロジャパン/良作浮遊リンク
3. tautology -short ver.- / m@rk
落ち着いたトーンの、静かなドラムンベースナンバー。鍵盤とシロフォンのような心地の良い音に思わず聞き入ってしまう。作曲はm@rk。珍しく「~P」という名称で呼ばれないプロデューサーだ。どの曲も、耳からとろけていってしまうようなフレーズが特徴的。その他に「eKlosioN」なども要リスト行き。
主なタグ: クールなみくうた/ミックンベース/ききいるみくうた
4. necrocarnival ~lomgmix~ / ちゃぁ
再生時の音量注意。耳元で金属をかきまわすようなインダストリアルサウンドが毒々しく、知らず知らずやみつきになるラウドミュージック。曲は実験的なモチーフを数々生み出してきたちゃぁ。かつて「ベルセルク」の漫画家・三浦健太郎が、ニコニコ動画の「時報」で呼び出されるとき、ちゃぁの「ひよこかみなり」を観ていたことは意外と有名な話。
5. 炉心融解 -nitamagoMix- / baker (Remix)
iroha (sasaki)の人気ナンバー「炉心融解」をアレンジ・リミックスして、強めのビートでまとめた飛翔感ある一曲。リミックスはKORG DS-10のプレイヤーとしても知られるbaker(関連記事)。リミックスナンバー「エレクトロぽっぴっぽー」は必聴。同じリミックスという点で、CosMo@暴走Pによる最新リミックス「炉心融解 (Hard-R.K.mix)」と聴き比べてみるのもいい。
主なタグ: INAPPROPRIATE/VOCALOIDカバー/炉心融解
