高品質なビデオキャプチャ・TVチューナデバイスで定評のあるカノープスから、MPEG-2形式での録画に対応したTVチューナユニット「MTU2400」(写真左)とPCIカード「MTV1200HX」(写真右)が登場した。
USB 2.0対応の
高性能TVチューナユニット
写真1 B5サイズの「MTU2400」本体。ケースはプラスチックでいかにも軽そうだが、実際手にすると600gと予想外に重い。 |
「極楽PC-TV(パソテレ)はハードウェアエンコで行こう!!」レビュー。写真をクリックすると当該記事に移動します。 |
【上級PC録画を狙え! その4】高機能エンコードカードを使って、高画質キャプチャ!! カノープス「MTV2200SX」レビュー。 |
MTU2400はTVチューナとMPEG-2ハードウェアエンコーダを内蔵したUSB 2.0接続のTVチューナユニット。映像入力はTVがアンテナ(Fコネクタ)×1、ビデオはS-VIDEO×1、オーディオ入力はRCA×2(ステレオ2ch)と標準的(写真2、3)で、TVチューナにはシャープ製の音声多重対応チューナを採用している。サイズは35(W)×228.3(D)×150(H)mmとやや大柄だ。
同社のTVチューナカード「MTV」シリーズのUSBユニット版にあたるモデルで、MTVシリーズの高い映像品質をもっと手軽に――というコンセプトで設計されている。外付けタイプのTVチューナユニットとしては初めて映像の補正処理を行う専用回路を搭載しており、MTVシリーズの上位モデル「MTV2200 SX」「MTV2000」と同等の映像品質で番組の視聴・録画を実現できる。
その映像補正機能は「3D Y/C分離」「3Dノイズリダクション」「タイムベースコレクタ」「ゴーストリダクション」と、MTV2000/MTV2200 SXにあるものと同等の機能を一通り搭載している。これらにより電波の受信状態が悪い場合も、色にじみやノイズを抑えてクリアな映像で録画できる。なお3D Y/C分離とノイズリダクションはフレームバッファを共有しているため、2つの機能を同時に利用することはできない。
写真2 フロントのカバーを外すとビデオ入力ポートが現れる。RCAコンポジットビデオを接続する場合には変換コネクタを用いる。 |
写真3 背面にはアンテナを接続するFコネクタにUSBコネクタ、ACコネクタ、そしてステレオミニプラグが並ぶ。ステレオミニプラグは拡張用の端子で今のところは使用されない。 | 写真4 中央にある小さなチップがパナソニックのMPEGエンコーダチップ「MN85572」(A)。チップ上にはドルビーデジタルのマークが入っている。その隣には3D Y/C分離などをサポートするDSP「MN673744」(B)がある。 |
MPEGエンコーダチップには民生用DVDレコーダにも搭載されている松下製「MN85572」を採用(写真4)。対応するフレームサイズは最大720×480ドットで、ビデオビットレートは最大15Mbpsとなる。もっともビットレートに関してはUSB 2.0で接続した場合の話で、USB 1.1で接続する場合にはデータ転送レートの制限(最大12Mbps)により事実上6Mbps程度が限界となる。ビットレートはCBR/VBRに対応し、VBRを選択した場合には平均・最大ビットレートをそれぞれ指定可能だ。DVDビデオの作成などを考慮して録画する場合などに重宝する。
このMN85572はドルビーデジタル(AC-3)エンコード機能も実装している。ビデオ音声をAC-3でエンコードすれば、10分の1程度にファイルサイズを抑えることができる。MTU2400でこのAC-3エンコード機能を有効にするには、別売のオプションキット(後述)が必要となるが、それでもほかのビデオキャプチャユニットにはない大きなアドバンテージといえよう。
使い勝手が向上した新しい録画ソフト
簡単リモコンモード | ||
画面1、2 MTU2400のコントロールを一括して行う「c.r.e.a.m.」。左がフルコントロールモード、右が簡単リモコンモード。 |
TV番組の視聴、録画、時間指定による予約録画などの各種操作は、新たに開発された専用録画ソフト「c.r.e.a.m.」(以下cream)が受け持つ。creamのユーザーインターフェイスは、チャンネルやボリュームの変更、録画などよく使う機能を大きめのボタンに配置した「簡単リモコン」モードと、オプションや予約録画機能などの設定画面にアクセスできるPDAスタイルの「フルコントロール」モードの2つがある。フロントエンドが「Macromedia Flash」で作成されているようで、インターフェイスを右クリックするとcreamではなくFlash Playerの設定項目が表示されるのは不満だが、手軽さをコンセプトにしているだけあって基本操作は行いやすい。
TV表示時のレスポンスはCPUスペックの影響を大きく受ける。これは、一旦ハードウェアでエンコードした映像をソフトウェアによりデコードして表示するためで、オプションで高い映像品質を指定している場合にはCPUもPentium 4など高速なものが必要となる。このためMTU2400の最低動作環境はPentiumIIIクラスのCPUを要求し、機能をフル活用する場合にはPentium 4-2GHz相当を推奨している。
価格は5万9800円。個人が購入するには少々勇気を強いられるが、MTU2400はMTV2000相当の高い映像品質でのTV視聴や録画処理をデスクトップ・ノートで差異なしに実現できる。映像品質を最優先したい方には、要注目のモデルといえよう。