無敵なのか?! カノープス「MTV2200SX」
3D Y/C分離機能、ゴーストリデューサーなど、画質最優先のカノープスらしさが炸裂するハイエンドTVキャプチャカード「MTV2200SX」。その画質の高さの秘密を探ってみよう。
3D Y/C分離っていったい何?
画質が魅力のMTV2000シリーズ
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写真1 カノープスから発売されている「MTV2200SX」。従来の「MTV2000」が大きなフルハイトのカードだったのに対し、大きさの基になっていたチューナ部をカードに外付けするボックスに移動させたことにより、ロープロファイル化することができた。搭載されている機能的には、MTV2000とまったく同じ。 |
カノープスの「MTV2000」シリーズは、Panasonic製のハードウェアMPEG-2エンコードエンジンを搭載し、3D Y/C分離機能やゴースト除去(リデュース)機能を実装した、カノープスならではの高画質を誇るハイエンドTVキャプチャカードだ。ここで紹介する「MTV2200SX」はロープロファイルPCIに対応し、TVチューナ部分を「TBOX」として外付けユニット化した製品である。このほかフルハイトPCIの「MTV2000」、MTV2200SXのTBOXを別売として低価格化した「MTV2200SX Light」がある。MTV2200SXの価格は6万9800円(実勢価格5万8000円)。TVキャプチャカードとしては、ハードウェアでMPEG-2エンコーディングができるとしてもかなり高価なほうだ。この価格が、MTV2000シリーズの唯一の弱点かもしれない。しかしその実力は、十分価格に見合うものだ。
ここで、3D(3次元)Y/C分離とは何かを説明しておこう。日本やアメリカで使われている映像信号の規格はご存じの通り「NTSC」だ。このNTSC信号は明るさまたは輝度(Y)成分に色(C)成分を混合(コンポジット)するかたちの構造になっている。これはもともと、明るさだけで映像を表現できるモノクロ動画像に色を重ねる形で、現在のNTSCが出来上がったからだ。
ちなみに輝度成分を「Y」と表現するのはなぜかというと、画像信号をベクトルで表現する際に輝度の変化率がY軸で表現されるからである。
さて、PCのRGB信号にこのコンポジット信号をマッチングさせるためには、まずY信号とC信号とを分離しなければならない。2D Y/C分離や3D Y/C分離というのは、この分離の手法の呼び名である。詳細は省くが、2D Y/C分離(くし型フィルタとも言う)は1フレーム内のドットの上下を比較し、その関連性からY/C分離を行うもので、3D Y/C分離はフレーム間の比較で分離を行う手法だ。つまり平面上(2D)で比較するか、時間軸を含めて立体的(3D)に比較するかという違いであり、一般的に3D Y/C分離のほうが精密な結果を得られるのだ。
MTV2200SXでは、この3D Y/C分離とノイズリダクションとを二者択一で選択するようになっている。
チューナ部分の性能もピカイチ
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写真2 付属のコントローラ「MediaCRUISE」は多機能で操作性も上々。画面は、マルチディスプレイ表示。全チャネルを一括表示することができる。キャプチャに直接は関係ないが、チャンネル切り替えの反応速度は恐らくTVキャプチャカード中、一番ではないかと思われる。 |
MTV2200SXのチューナ「TBOX」は、MTV2200SXとはビデオケーブルとオーディオケーブルのみで結ばれる。チャネル切り替えなどのコントロールに関しては、PCと接続したUSB端子側から行うようになっている。このTBOXは外付け型になっているだけあってチューナとしての出来が大変にいい。アンテナ線を分配器で6分岐させた環境でカノープスの初代TVキャプチャカード「WinDVR」と比べてみたところ、画像の鮮明さ、ノイズの少なさは段違いにTBOXのほうが優れている。
このチューナの性能がMTV2200SX本体の持つ3D Y/C分離機能・ノイズリダクション機能と相まって、TVキャプチャには絶大な威力を発揮することだろう。記録型DVDに動画像を保存するにはソースとなる動画像のクオリティがまず重要だが、MTV2200SXでは最高でビットレート15Mbpsまでのリアルタイムエンコードが可能であり、十二分のクオリティを得られる。もっともDVD化する際には、DVDの規格上の制限で最高でも8Mbpsにまでビットレートを落とす必要はあるのだが……。
