グローバル戦略を、成長の鍵とするパナソニックにおいて、この領域における課題とはなんだろうか。
大坪文雄社長は、具体的な課題として、「スピード」、「アグレッシブ性」を挙げる。
大坪社長は、「サムスンやソニーといったライバルメーカーに比べて、技術レベルでのポテンシャルは大いに自信を持っている」と前置きし、「持てる技術を、いかに消費者目線で、商品に置き換えるか、消費者目線で提供しているか、という点では、コンペチターよりも一日の長があると確信している」と言い切る。
だが、その一方、「マネジメントのスピード、アグレッシブさについては課題があると認識している。必要な時にリスクを越えて、行動できるかどうか。ここに課題がある」と語る。
パナソニックは、わずか数年前まで、「重くて、遅い」と比喩されるような経営体質となっていた。
組織構造が多重化し、他社に先行した商品づくりができなかったのだ。それが未曾有の赤字決算につながった。
その後の中村邦夫社長(現会長)が推進した「破壊と創造」、通称「中村改革」によって、パナソニックの体質は「軽くて、早い」ものへと改善されてきた。V字回復を遂げたのも、この体質転換が大きく効いている。
だが、それは日本で戦う場合の「軽さ」と「早さ」である。グローバルレベルで戦うには、さらに軽くて、早い体質への進化が必要だ。
大坪社長が指摘する「スピード」、「アグレッシブ性」とは、ワールドクラスへの進化を示したものといえる。
AVC事業を率い、海外での厳しい争いの最前線にいる坂本俊弘専務取締役は、「勝って初めてそのスピードが評価される。勝たないことには、スピードが遅いのと同じ」と、手綱を締める。
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