社名変更およびブランド統一、そして、三洋電機の子会社化という動きのなかで、パナソニックの中期経営計画「GP3」は、いよいよ最終年度に突入する。
2009年1月9日に、大阪・枚方市の人材開発カンパニーで開いた経営方針説明会で、パナソニックの大坪文雄社長は、「単に景気が悪いというのではなく、世界的な不況、需要縮小と、新興市場の拡大や低価格品への需要シフトという市場の構造変化が同時進行している。景気が底を打って回復することは望めない。たとえ、市況が上向いても市場の構造変化の流れは変わらないだろう」と前置きしながら、「GP3で掲げたすべての数値目標を達成するのは厳しくなってきた。だが、GP3計画で目指す姿や方向性は変えない。最後まで目標に向けて前進する。それにより、市況回復時には、他社を圧倒して大きく飛躍する体質にしたい」と語った。
大坪社長には、「2001年以降の構造改革(破壊と創造)による成長性、収益性の押し上げ効果は、2008年度上期までで完全になくなった」という認識がある。
方針説明会で、「最終年度に向けて徹底的な構造改革と体質強化、成長への仕込みを行なう」と宣言したのも、いまの経営環境にあわせた新たな構造改革が必要だとの認識の表われだ。
そして、事業・商品カテゴリーでは、2006年度以降連続赤字となっているものに関しては撤退を前提に整理し、海外拠点に関しても、2006年度に導入した撤退基準に該当した拠点は原則撤退。経営資源を伸ばす事業にシフトする姿勢を強調した。
設備投資では、投資回収の視点から精査。今年5月に稼働を予定していた兵庫県・尼崎のPDP国内第5工場の稼働時期を2010年1月に、また2010年1月に稼働予定のIPSアルファ姫路工場の稼働時期を2010年7月に延期するとともに、両工場の設備投資計画を見直すことも発表。総額5800億円の投資を、1350億円抑制し、4450億円とすることを明らかにした。
ここで重要なのは、段階的な稼働計画をさらに見直し、今後は単年度に近い形で投資判断を行ない、実需にあわせた稼働状況へシフトする仕組みとした点だ。スピーディーに判断できる仕組みとすることで、激変する市況に迅速に対応できるようにしたのた。
「2009年度は、来年度以降のポストGP3につながる大切な年。くらしを輝かせるアイディアの連打によって、家まるごと提案、世界まるごと市場の精神で、創業100周年には世界ナンバーワンの企業として、胸を張れるような成長を遂げていく」と、大坪社長は語る。
次ページ「打って出る」に続く
この連載の記事
-
最終回
ビジネス
パナソニック――大坪社長が語る“今”とこれから -
第20回
ビジネス
パナソニックを支える技術「UniPhier(ユニフィエ)」 -
第19回
ビジネス
パナソニックが技術で魅せる「総合力」 -
第18回
ビジネス
パナソニックの3つのエコアイディア戦略とは -
第17回
ビジネス
パナソニックが中期経営計画に環境経営を盛り込む理由 -
第16回
ビジネス
パナソニックが抱えるグローバル戦略の課題とは -
第15回
ビジネス
北米市場で構造改革の成果が試されるパナソニック -
第14回
ビジネス
欧州市場から世界を狙うパナソニックの白物家電事業 -
第13回
ビジネス
中国でのパナソニックの成長を下支えする中国生活研究センターとは -
第12回
ビジネス
EM-WINで新興国市場を攻略するパナソニック - この連載の一覧へ