パナソニックは、中期経営計画「GP3」において、グローバルエクセレンスへの挑戦権獲得を掲げる。
大坪社長が語るグローバルエクセレンスとは、「絶えずイノベーションを起こし、成長を続ける企業」、「世界規模で健全な事業活動を展開する企業」、「世界中のすべてのステークホルダーに支持される企業」となる。
数値の観点で見れば、売上高10兆円以上、営業利益率10%以上、ROE10%以上、グローバルシェアナンバーワン製品が30%以上というのが、ひとつの基準だ。
そして、2007年度実績で49.9%だった海外売り上げ比率を、60%に引き上げるのも、パナソニックがグローバルエクセレンスカンパニーとなる条件のひとつと位置づける。
「パナソニックと聞くだけで、安心して消費活動に移していただけるブランドであること。それが全世界で共通の認識として定着することもグローバルエクセレンスの条件。まずは、2009年度を最終年度とするGP3計画においては、その挑戦権を得ることを目指す」
グローバルエクセレンスへの挑戦権を獲得することが目標であるGP3においては、当然のことながら、海外事業の強化が重点課題となる。
大坪社長は、GP3計画における主要目標のひとつに「海外2桁増販」を掲げ、2009年度までの3カ年における全社1兆円の増収計画のうち、7割を海外事業で確保。とくに、BRICs+V(ベトナム)を重点市場とすることを示した。
具体的には、海外事業における家電/システム販売の売上高において、12%増の年平均成長率を維持し、2006年度の2兆円から、2009年度には2兆8000億円以上に拡大。さらに、BRICs+Vでは2006年度3635億円の実績から、6000億円以上に拡大する。
「BRICs+Vにおいては、富裕層をターゲットとし、これを2008年度からは、ネクストリッチ層にまで広げている。新興国市場に最適化した製品群の開発を加速し、それぞれの市場に最適化した商品を投入する」(パナソニック・大月均常務取締役)と語る。
中国を例にあげれば、富裕層となるのは年収150万円以上となる2.2%の2900万人。2008年度からは、これに加えて年収75万円以上の7300万人のネクストリッチ層(中間所得層)をターゲットとする。あわせると人口全体の7.7%が対象となる。
ブラジルでは、富裕層となる年収380万円以上の180万世帯に加えて、年収190万円以上の380万世帯の有産階級層に、ベトナムでは年収180万円以上の48万世帯の富裕層に加え、年収100万円以上の120万世帯の中間所得層を含め、それぞれ約10%の世帯を対象に展開。さらに、ロシアでは、年収580万円以上の200万世帯の富裕層ほか、年収175万円以上の都市型リッチ層にまで広げて全体の42%を網羅。インドでは、年収250万円以上の1250万世帯の富裕層、年収60万円以上の7500万世帯中間所得層までの約35%の世帯にまで対象を広げる。
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