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2008年10月31日更新

『「上司」という仕事のつとめ方』著者に聞く

「完璧な上司なんて、いませんよ」

文●中村宏美

弱味をみせてもいいじゃないですか

―― 悩める若手上司は、どうしたらいいんでしょう?

「上司」という仕事のつとめ方
『「上司」という仕事のつとめ方』 カウンセラーとして「上司の本音」を聴き続けてきた著者が、その経験から上司としてのヒントを集めた ISBN:978-4788907676/実務教育出版/1575円(税込)

 下の携帯世代とのコミュニケーションということで言うと、たとえば上司がブログで情報発信してコミュニケーションが円滑になったというケースはあります。最初はまったく表情がなかった新人社員でも、しつこく飲み会に誘い続けた結果、やっと心を開いてくれたという例もある。ダメな人ほど、大化けするということもあるんです。しかし、それ以前の問題として、上司という立場にいる人が、悩みを抱え込まないことのほうが大切です。

―― 真面目な人ほど抱えこんでしまう。

 上司は立派じゃなきゃいけない。そんな思い込みを持ってしまうと大変です。相手を責め、自分を責めたあげく、心を閉じてしまう。でも、完璧な人間なんていないんですよ。心理学で自己開示という言葉がありますが、まずは自分の弱さやマイナスの部分に対して正直になることです。弱味を見せてもいいじゃないですか。

―― そこがなかなか難しい。

 とくに男性は弱味を見せるのが苦手です。メールで深刻な相談を寄せてくれる人には「こんなことを相談するのは生まれてはじめてですが……」という場合が多い。相談できる相手がいないんです。

 そういう意味では、話せる相手を持つことが大切です。家族でも趣味の仲間でも、誰でもいい。相談相手がいればそれだけでずいぶん救われる。話してみれば「じつはオレもさあ……」という話が出てくるかもしれない。実際、悩んでいるのはみんな同じなんですよ。相談を受けているとそれがよくわかります。悩んでいると自分だけがひどい状況にあるように思える。けれど、そうじゃないんです。職場ではいきいきと元気に働いているように見える人でも、実は深刻に悩んでいたりする。

―― 誰でも超える坂道なんだ、と。

 ミドルクライシスという言葉がありますよね。いわゆる中年の危機です。この年代には不思議と困難がふりかかる。複雑な人間関係、思わぬ仕事の失敗、病気、失職……まるで運命にからめとらるように難題が襲ってくる時期です。でもそれは、自分のシャドウ=影の部分を認めるために必要なステップなのかもしれません。そんな時期を過ごすことで、より自然体で、やわらかな勇気を持って活躍できるようにもなる。

 コンサルティングをしていると、その変化になんども立ち会います。人はときに、どうしようもなく弱くなる存在です。しかし、その時期を越えると花も開く。完璧な人間はいません。完璧な上司になんて、ならなくていいんです。

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