DS-10を知らない層に訴えかけたい
── では気を取り直してDS-10。今更言うのもなんですが、ホントに良く出来てますよね。
佐野 だって開発スタッフも言ってますからね。こんなに良く出来ているものだとは思わなかったって。
── レゾナンスを上げてフィルターを開けていくときなんか、すごいリアルですよね。
佐野 その辺はコルグさんのノウハウですね。パラメーターにしても、1ドット動くとリニアにパラメーターが動くとか、そういう話じゃないんですよ。ものすごい職人芸的なカーブで。挙動に対する反応のチューンナップはすごかったです。土壇場の、最後の最後まで、ほんとにすごかった。
ゲームとして売るか、楽器として売るか
── そういえば、ものすごく売れたそうじゃないですか。
佐野 具体的な数は言えないですけどね。
── なぜAmazon専売だったんですか?
中川 まず、ゲームとして売っていくのか、楽器として売っていくのかによってそれぞれ難しい部分があって。そんな中Amazonさんに相談させてもらったら一緒にやりましょうと。話題にもなるので限定販売という形で。
佐野 ゲーム屋さんには「シンセと言われても分かんない」。楽器のほうでも「ゲーム機のソフトねえ」と。だからアプローチのしようがなかったということです。Amazon専売という、いいソリューションが見つかって良かったですよ。
── 業界的にはコウモリのようなポジションだったわけですね。Amazonは僕らみたいな年齢層(=おっさん)には買いやすいわけですが、でもプラットフォームがゲーム機だし、もっと下の世代に遊んでほしい気もしますね。
佐野 そうですね。ビジョンとしてはお年寄りとかもね。そう、今のお年寄りって、僕らが思うほど、お爺ちゃんお婆ちゃんでもないわけですよ。ただ、そうなると文字の小ささが問題ですね、DS-10の場合は。だから任天堂さんもデカいDSを作ってくれればいいのになと。孫とソフトが共用できるような。
── アナログシンセで育った世代としては、なんとかこのDNAを保存していきたいと思うわけですけど。
佐野 それが、いかんせんオヤジばかりが反応してしまってですね(笑)。いや、それで全然構わないんですけどね、元々そういう企画だったので。まだDS-10を知らない層があるので、そこにどうにかして訴えかけたいなと思いますね。
── 我々おっさんは老い先短いですからね、買っても何も残さない。
佐野 機会があるたびに小学校でやらせてくれ、って話はしてるんですけどね。楽しいと思いますよ、教室内が電子音で満たされたら。なにかをすると反応があるという、コンピュータの根源的な面白さがあるし。
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