海外では、日本語学習ソフトと一緒に買われる
── 海外では普通のチャンネルで売るわけですよね?
中川 はい。欧州では欧州任天堂さんから。オーストラリアでも欧州扱いで発売されます。北米ではXSEED Games(AQインタラクティブの米国子会社)扱いで売ります。
── 海外での期待を示すように「日本語が分からなくても使えるか?」みたいな英語のコメントがDS-10の動画によく付いてますよね。
佐野 それはね、僕もつたない英語で「まったく日本語は必要ないです」って返事はしているんですけど。面白いのが、Amazon.comでDS-10と一緒に日本語の教材を買っている人がいるみたいなんですよ。日本のソフトなんで、日本語ができないと使えないと勘違いしているらしい。
── それはものすごい勘違いですね(笑)。海外と言えば、ニコニコ動画のIDを取ろうと頑張っている人もいますね。
佐野 そうそう。ニコ動のIDの取り方が全部書いてあるサイトがあって。それで入れた見れたとやってますよね。
楽器として成り立ってくれて嬉しい
── ユーザーの上げた動画の印象はどうですか?
佐野 いやもう予想以上ですよ。DS-10を作っている時に「初音ミクみたいなノリで盛り上がったらいいね」って話はしていたんですけどね。もっとテクノ一本槍になると思ったんですけど、想像以上に幅が広くてクリエイティビティーが高い。
── 想定外の使われ方というのはありましたか?
佐野 リアルタイムでパターンプレイをしながら、ミュートとソロを使い分けている人がいるでしょ。あそこまで使われるというのは想定していなかったですね。ミュートボタンをパターン画面に入れるというのは、コルグさんの発案だったんですけどね。DJ的な感覚で。まさかあそこまで使いこなしてもらえるとは思わなかったですね。だってすごく上手じゃないですか。
── 音色についてはどうですか?
佐野 動画サイトの音質では細かいところまでは分からないですけど、まさに楽器だなあと。人によって出音がまったく違うところがいい。楽器として成り立たせることができて良かったなと思いますね。
もっといろんな人の曲が聴きたい
── これだけ売れて話題になると、もう次回作の話が進んでるんじゃないですか?
佐野 これがまだ全然進んでないんですね、正直な話。まあ将来的にはやりたいですけど。(ソフトが売れたら)ハイ次、ハイ次って言うより、DS-10をもっと広めたいんですよ。せっかく一生懸命作ったんで。
── では仮にもし続編があるとしたら、どんな風にしたいですか?
佐野 どんなんだろうなあ。うーん。本当にこう、燃え尽きというか(笑)。2つあるVCOを4つにしようとか、パターン数を増やそうとか、そうなったら当然できる音楽の幅は広がるんですけど、そういうマイナーチェンジはやりたいと思わないですね。動画サイトを見ていて思うんですが、これはこれでストイックな感じで完成している。
── 確かにそうですね。制約がゲームのルールになっているような。
佐野 これ(限られた要素)でどうにかしようと思って、みんなやってるわけじゃないですか。そうじゃない別のところをサポートしてみたい。具体的なところでは、動画サイトに上げるスキル。パソコンで録って動画を付けてという。それができなくて上げられない人はいるんですよ。そこを手助けできるような仕組みが出来たらいいなと。
── なるほど。
佐野 動画サイトを見ていると、そっちの方に未来を感じるんですよね。今までなかったムーブメントなので。いま躊躇している人にやってもらえたら、もっといろんな曲が聴けるし。
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