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つなげ!オンガク配電盤 第2回

KORG DS-10で、シンクロナイズド・ミュージック

2008年08月25日 12時00分更新

文● 四本淑三(powered by 武蔵野電波)

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何か危険物用にも見えますが

なにやら赤のケーブルを切るか、青のケーブルを切るかで生死が分かれてしまいそうなビジュアル。作成方法は記事の最終ページを参照

自作ミキサー大成功の巻


 「あ、アレ持ってきましたよ」

 船田さんはカバンの中から怪しいハコを取り出し、テーブルの上に置いた。半透明のケースに小さな基板が入っていて、赤や青のケーブルがびろーんと伸びている。

 昨今の情勢から言って、われわれのように目つきの悪い中年男が、このようなものを持って新宿界隈をうろつこうものなら、

 「ちょっと待てコラ!」

 と、警察官に呼び止められるのは必至である。なんだか小型の爆弾に見えなくもないし、神経質そうな船田さんは爆弾魔のようでもあるし、私はボヤッキーの横にいるトンズラーのようだし、まったく何もかもが怪しくて困るのだが、半透明のハコは平和利用しかできないミキサーであった。

 DS-10を一人でプレイするなら本体にイヤホンでオーケーだが、2人でそれをやっては互いの音が聴こえない。無線で同期すると言っても、オーディオ出力までストリーミングするわけではないから、合奏するには内蔵スピーカーの音を出してドンツクやるしかないわけだが、すると、

 「おらーっ、兄ちゃん、他のお客さんの迷惑も考えろや」

 というような方々をはじめとして、善良な一般市民の怒りをかってしまう。

 こういう場合はミキサーでDS-10の音をまとめ、互いのイヤホンに出力すると、周囲に迷惑をかけることなく内輪で合奏できるわけだ。

 問題は都合のいいミキサーが市販品に見当たらないこと。モバイル環境でジャムるための機材というのは、まだ世の中に存在しない。携帯できるグルーヴィーなシンセの精神的軽さに見合うものはないのだ。

 現状、もっとも軽くて安いミキシング手段はY字ケーブルだが、接続機器が増えるとタコ足配線になり、音量が落ちて使えない。電池駆動のモバイルミキサーは、ちょっとコーヒー屋のテーブルには大きい。入力端子はRCAピンやPHONEだから、DS Liteのステレオミニに変換するケーブルも要る。

 だったらミニプラグ付きの小さいミキサーを作ればいいじゃん。ということになって船田さんがこしらえてきたのが、この時限発火装置のようなものだったのだ。

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