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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第29回

炎上を防ぐには「臆病者」であれ──サポセン黙示録

2008年07月21日 11時00分更新

文● 古田雄介

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載せたからには、逃げない。隠さない


── 最近はmixiやブログに書いた「やんちゃ自慢」が原因で炎上して、バイト先や就職先に迷惑かけてしまう人が目立っています。そういう人たちに向けて、予防線を張るアドバイスをください。

FOX-兄貴 うーん、とりあえずネットに情報を発信するということは、全部自分の責任なんですよ。逆に言えば、自分が責任を持てる範囲の情報しか出すべきじゃないんです。そして、載せたからには、逃げない。隠さない。

 とりあえず、私はそういう覚悟でやっています。だから、所属企業が特定される情報は一切扱いませんし、掲載前に絶対3、4回は見直しますからね。むちゃくちゃ臆病になんですよ。


── それで、読者のネタ投稿コーナーも、最初の掲示板スタイルから、メールで受け取って厳選する方法を選んだわけですか。

FOX-兄貴 そうですね。皆さんから頂く投稿も、絶対そのままではアップしません。投稿者がいて、載せるのが私で、責任は誰が追うのかと言ったら、私じゃないですか。だから、すべて私が責任を負える仕組みにしないと駄目なんです。

 例えば、アスキーさんについてのネタで「ア○キー」って書く人も多いけど、それじゃ結局集団が特定できるから隠す意味がありません。同じように、バイト先で写メールしたものを、制服のロゴだけモザイクかけても分かっちゃうんですよね。そういったところを慎重に改修し、面白いネタとして掲載させていただいています。


── 炎上する人は脇が甘いというか、「一応伏せています」っていうネタを、本気の予防線みたいに使うのがよくない。だから、自分で責任が負えない、企業レベルの迷惑までかけてしまうと。

FOX-兄貴 そうですね。ただ、予防線を張るというのはネットに限ったことではなく、一般社会でも同じだと思うんですよ。公に表現するんであれば、絶対に超えられない一線がある。それを超えると、自分が矢面に立ってやっていくしかないんです。でも、私は隠れたかったので、そちらを選ばなかった。

 私がやっているサポートの仕事でも「こうすれば直ります」とは滅多に言いません。お客様は、電話で確認した症状以外にも何かの不具合を抱えているかもしれませんから、「直る可能性があります」としか言えない。そこまでが、私の責任で発言できることですからね。

 だから炎上する人も、矢面に立つ気がないから、もっと怖がって慎重になってほしいですよね。


── ただ、統計的にみると、1万人いたら何人かはそういうことをしてしまう。まあ、根絶はあり得ないですよね。

FOX-兄貴 そうですね。まあ、結局その人の人生ですから。どうしてもやっちゃう人には、「ま、頑張れ」って声かけるくらいしかできないですよね(笑)

FOX-兄貴の「覚悟」

読者投稿をまとめた「愉快なお話(投稿編)」。下段に「過去の作品の中には、読んでいて不快感を感じるものもあると思います。削除も考えましたが、あえて当時のままで掲載しております。それらを読み、何かを感じ取っていただければ幸いです」と注意書きがある。FOX-兄貴の「覚悟」を示す端的な文章だ

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