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激化する次世代燃料ウォーズを制するのは!? 第5回

水素製造の大手に聞く「燃料としての水素」

2008年06月12日 13時00分更新

文● 真鍋裕行

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 第4回目となる今回は、これまでに紹介した水素ロータリーエンジン水素自動車からいったん離れて、次世代燃料の有力候補「水素」をクローズアップします。詳しく解説してくれたのは、水素燃料では業界トップクラスの「岩谷産業」。水素の製造方法や用途など、さまざまな疑問を分かりやすく教えてもらいました。

燃料としての水素とは

───まず、岩谷産業とはどのような企業ですか?

イワタニ

水素精製装置

玉井英太氏(以下敬称略) ご家庭の燃料として使われているLPガスや工業用に使われている酸素、窒素、炭酸、水素などさまざまなガスを扱っている会社です。今回のテーマの水素ですが、光ファイバーやガラスから化粧品、食品分野まで、幅広い製造の現場で工業用として使用されています。この水素が身近なクリーンエネルギーとして注目されはじめたのは、わりと最近のことなんです。

───水素が燃料(エネルギー)として使用されるようになったのは、いつごろからですか?

玉井 水素を燃料とする代表的なものが宇宙ロケットです。今から20年以上前の1986年に初めて液化水素が2段目エンジンの燃料として使われました。 液化水素は、水素の沸点である-253℃以下に冷やして液化したものです。

 おおよそですが、気体の水素を液体にすると、約800分の1の体積になります。また液化水素の比重は水の14分の1にすぎないので、液化水素の状態でロケットに積み、燃料として使用することは非常に効率がいいんですね。ロケットは液化水素と液化酸素を爆発的に燃焼させることで、エネルギーに換えています。

自転車

「水素・燃料電池展」に出展された水素自転車

 一方、近年開発が進んできた燃料電池は、水素を燃やすのではなく、空気中の酸素と化学反応させることで電気を発生させる仕組みです。燃料電池自動車は、この燃料電池で発電した電気で走る電気自動車です。

 また、水素をガソリンのように内燃機関で燃やして走る車も注目を集めています。一般的には水素エンジン自動車と言い、既存の技術の延長上で開発ができることや、運転のフィーリングがガソリン車に近いこと、また低価格が実現できることなどから開発が進んでいます。水素ロータリーエンジンもその中のひとつですね。

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