第4回目となる今回は、これまでに紹介した水素ロータリーエンジンや水素自動車からいったん離れて、次世代燃料の有力候補「水素」をクローズアップします。詳しく解説してくれたのは、水素燃料では業界トップクラスの「岩谷産業」。水素の製造方法や用途など、さまざまな疑問を分かりやすく教えてもらいました。
燃料としての水素とは
───まず、岩谷産業とはどのような企業ですか?
玉井英太氏(以下敬称略) ご家庭の燃料として使われているLPガスや工業用に使われている酸素、窒素、炭酸、水素などさまざまなガスを扱っている会社です。今回のテーマの水素ですが、光ファイバーやガラスから化粧品、食品分野まで、幅広い製造の現場で工業用として使用されています。この水素が身近なクリーンエネルギーとして注目されはじめたのは、わりと最近のことなんです。
───水素が燃料(エネルギー)として使用されるようになったのは、いつごろからですか?
玉井 水素を燃料とする代表的なものが宇宙ロケットです。今から20年以上前の1986年に初めて液化水素が2段目エンジンの燃料として使われました。 液化水素は、水素の沸点である-253℃以下に冷やして液化したものです。
おおよそですが、気体の水素を液体にすると、約800分の1の体積になります。また液化水素の比重は水の14分の1にすぎないので、液化水素の状態でロケットに積み、燃料として使用することは非常に効率がいいんですね。ロケットは液化水素と液化酸素を爆発的に燃焼させることで、エネルギーに換えています。
一方、近年開発が進んできた燃料電池は、水素を燃やすのではなく、空気中の酸素と化学反応させることで電気を発生させる仕組みです。燃料電池自動車は、この燃料電池で発電した電気で走る電気自動車です。
また、水素をガソリンのように内燃機関で燃やして走る車も注目を集めています。一般的には水素エンジン自動車と言い、既存の技術の延長上で開発ができることや、運転のフィーリングがガソリン車に近いこと、また低価格が実現できることなどから開発が進んでいます。水素ロータリーエンジンもその中のひとつですね。
次のページへ続く
この連載の記事
-
最終回
デジタル
水素×ロータリーエンジンの来し方行く末 -
第4回
デジタル
開発者に聞く「もう水素ロータリーは実用化?」 -
第3回
デジタル
水ロタ車試乗 ハイドロジェンRX-8試乗インプレッション -
第2回
デジタル
水素とロータリーエンジンの基礎知識 -
第1回
デジタル
激化する次世代燃料ウォーズを制するのは!? -
デジタル
激化する次世代燃料ウォーズを制するのは!? - この連載の一覧へ