モバイルノートながら快適なキーボード
機能的割り切りは少ない
少々前置きが長くなったが、HP Miniの詳細に触れていこう。
Eee PCなど、多くの低価格ミニPCが「B5ノートの縮小版」的なスタイルであるのに対し、HP Miniは「フルキーボードぎりぎりのサイズにコンパクト化したノート」という印象になっている。日本の古株モバイルユーザーからみれば、ソニー(株)の「VAIO C1」や(株)東芝の「Libretto Lシリーズ」に似たテイスト、といえばわかりやすいだろうか。
ただし、デザインテイストは前述した過去の「フルキーボード・モバイル」とは大きく異なる。一言でいえば「丈夫な箱」だ。ボディーはアルミニウムとマグネシウム合金の合板でできており、剛性が非常に高い。各部の合いもきっちりしており、とにかく頑丈で高級な印象をうける。予備知識なしで見せられて、これが低価格ノートPCと思う人はほとんどいないのではないか、と思うほどだ。天板のHPロゴも印刷ではなく、アルミ薄板で作ったものの貼りつけとなっている。
キーピッチは17.5mmと、ほぼフルサイズである。タイプ感は非常に良好。かなり軽めのキータッチだが、低価格PCにありがちなクニャクニャ感がまったくなく、長時間タイプしても疲れを感じない。過去にテストした15万円以下のノートパソコンの中でも、最上位に位置づけられる。キーの形状は、最上段と最下段のキーがフラットに、それ以外の主要なキーはゆるやかな凹状にくぼんだ形状になっている。これは、キーを見ずとも感触で両者の違いを認識させるためのもので、操作性向上に一役買っている。
ただしキー配列は全製品が英語キーボードだ。マニア層にはどうということはないだろうし、「むしろウェルカム」という人も多いだろうが、日本ユーザー向けのマス・プロダクトとしては気になるところではある。私も日本語キーボードの「逆L字のEnterキー」が好きなので、少々残念に感じた。
キー配列が英語キーである理由は、HP Miniの安さとおおいに関係がある。HP Miniはワールドワイドで統一モデルにすることで、低価格を実現している。逆に言えば、「日本語キーボードを搭載するとコストが大幅に上がる」ほどギリギリに作られている、ということでもある。残念なことではあるが、それだけ、日本の市場が小さいと見なされた、ということでもある。
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