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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第3回

挑戦的モバイル、HP 2133の実力はいかに?

2008年06月05日 11時00分更新

文● 西田 宗千佳

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モバイルノートながら快適なキーボード
機能的割り切りは少ない

 少々前置きが長くなったが、HP Miniの詳細に触れていこう。

 Eee PCなど、多くの低価格ミニPCが「B5ノートの縮小版」的なスタイルであるのに対し、HP Miniは「フルキーボードぎりぎりのサイズにコンパクト化したノート」という印象になっている。日本の古株モバイルユーザーからみれば、ソニー(株)の「VAIO C1」や(株)東芝の「Libretto Lシリーズ」に似たテイスト、といえばわかりやすいだろうか。

東芝「Libretto L5」

東芝「Libretto L5」。金属的な質感のボディーはいまでも評価が高い。Lシリーズ初代機は2001年に登場。CPUには米Transmeta社のCrusoeシリーズを採用した

ソニー VAIO「PCG-C1MRX」

ソニー VAIO「PCG-C1MRX」。C1はビデオカメラをいち早く内蔵したモバイルノート。写真のPCG-C1MRXは、重量1kg未満ながら、ハードウェアMPEG-2エンコーダーを内蔵し、DVD品質でのビデオ録画まで可能にした

 ただし、デザインテイストは前述した過去の「フルキーボード・モバイル」とは大きく異なる。一言でいえば「丈夫な箱」だ。ボディーはアルミニウムとマグネシウム合金の合板でできており、剛性が非常に高い。各部の合いもきっちりしており、とにかく頑丈で高級な印象をうける。予備知識なしで見せられて、これが低価格ノートPCと思う人はほとんどいないのではないか、と思うほどだ。天板のHPロゴも印刷ではなく、アルミ薄板で作ったものの貼りつけとなっている。

付属の3セルバッテリーをつけた状態。金属光沢の美しさも相まって、非常にスマートな印象を受ける

 キーピッチは17.5mmと、ほぼフルサイズである。タイプ感は非常に良好。かなり軽めのキータッチだが、低価格PCにありがちなクニャクニャ感がまったくなく、長時間タイプしても疲れを感じない。過去にテストした15万円以下のノートパソコンの中でも、最上位に位置づけられる。キーの形状は、最上段と最下段のキーがフラットに、それ以外の主要なキーはゆるやかな凹状にくぼんだ形状になっている。これは、キーを見ずとも感触で両者の違いを認識させるためのもので、操作性向上に一役買っている。

キー配列は英語配列だが、サイズ、タイプ感ともに良好

HP Miniのキーボードはフルサイズ。キー配列は英語配列だが、サイズ、タイプ感ともに良好。価格面でもサイズ面でも、「クラス最高級」

操作系のキーは表面がフラットに、メインキーはアールのついた形状

キーを斜めから見るとわかりやすいのだが、操作系のキーは表面がフラットに、メインキーはアールのついた形状になっている。打ちやすさ・わかりやすさの両面でプラスだ

 ただしキー配列は全製品が英語キーボードだ。マニア層にはどうということはないだろうし、「むしろウェルカム」という人も多いだろうが、日本ユーザー向けのマス・プロダクトとしては気になるところではある。私も日本語キーボードの「逆L字のEnterキー」が好きなので、少々残念に感じた。

 キー配列が英語キーである理由は、HP Miniの安さとおおいに関係がある。HP Miniはワールドワイドで統一モデルにすることで、低価格を実現している。逆に言えば、「日本語キーボードを搭載するとコストが大幅に上がる」ほどギリギリに作られている、ということでもある。残念なことではあるが、それだけ、日本の市場が小さいと見なされた、ということでもある。

週刊アスキーとサイズを比較

週刊アスキーとサイズを比較。重量が軽いとまでは言えないが、鞄に収まりもいいサイズか

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