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「ボトルネックを潰せ」

池田信夫が語る、「ムーアの法則」と日本の経済(後編)

2007年12月24日 13時00分更新

文● 松本佳代子、語り●池田信夫

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日本は再び「戦艦大和」を作ろうとしているのか!?


 日本経済が相対的に収縮している一番大きな原因は、グーグルみたいな10年前にはなかった産業を作ることができないからです。

 グーグルは時価総額20兆円の産業になっていますが、日本の著作権法では、検索エンジンを国内に置くことすらできない。日本企業は検索エンジンのサーバーをアメリカに置いています。著作権法で検索サーバーまで阻害しているのは、さすがにまずいと理解されているので近いうちにどうにかなるはずですけど。

 こういう問題をやっていて一番感じるのは、政治家の人たちが、ITのことをよく知らないということです。

 政治家の先生は何も知らないからしょうがないとしても、多少は知っている官僚もだらしないと思う。総務省はユビキタスでICタグなんてくだらないことをやっているし、経済省は「日の丸検索エンジン」、文科省は「京速計算機」をやっていて、みんな「官民で力を合わせてアメリカに追いつこう」という高度成長期と変わらない政策に巨額の税金をつぎこんでいるわけです。

 京速計算機は、スーパーコンピューターを1150億円もかけて神戸のど真ん中に作ります。しかも電力が足りないから専用の発電所まで作るんですよ。信じられないでしょ? それが予定通りに2010年にできたとしても、おそらく世界一にはなっていません。なぜならムーアの法則に負けちゃうからです。

 20億円の東工大のスパコン「TSUBAME」は、普通のPCに使うCPUを並列につないで、600億円の開発費をかけて年間維持費だけで50億円もかかる「地球シミュレータ」の性能を抜いちゃいましたね。

 それなのに、その倍を掛けてまた作る。

 戦艦大和そのものですよね

 「大艦巨砲主義」というビジネスモデルを変えないで、既存の企業が集まって既存の技術をただ大きくすればいいと考える、こういう古い思考様式をムーアの法則は破壊するのです。


池田信夫氏プロフィール


1953年京都府生まれ。東京大学経済学部を卒業後、NHK入社。1993年退職後。国際大学GLOCOM教授、経済産業研究所上席研究員などを経て、現在は上武大学大学院経営管理研究科教授。学術博士(慶應義塾大学)。著書に「情報技術と組織のアーキテクチャ」(NTT出版)、「電波利権」(新潮新書)、「ウェブは資本主義を超える」(日経BP社)などがある。

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