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「ボトルネックを潰せ」

池田信夫が語る、「ムーアの法則」と日本の経済(後編)

2007年12月24日 13時00分更新

文● 松本佳代子、語り●池田信夫

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 米国で著作権の期間が延長されているのは、ディズニーのミッキーマウスが最初に登場した映画が元になっていると言われます。でも流通業者の利益は、本来守っちゃいけないんです。独占禁止法違反になるはずなんです。でも著作権とか商標権は独占禁止法の例外事項になっています。さらに著作権は、憲法21条の「表現の自由」の例外事項にもなっています。

 表現の自由は「憲法で保証された権利」、著作権は「経済的な権利」。どちらが強いかというと、結局は声の大きい方が勝って、表現の自由が侵害されています。

 日本はコンテンツ大国だからコンテンツで収益を上げようとしてますが、日本のキャラクターが世界中に知られたのは、合法的に輸出されたものからではないんです。例えば、YouTubeで「ポケモン」と検索すると18万件出てきます。最初から高い値段で売ろうとしても無理ですが、どんな形でも、キャラクターが世界中で知られて親しまれると「商品も買ってみようか」となります。

 これは、CDとP2Pが「補完財」か「代替財」かという話につながってきます。例えば両者が代替関係であればP2PによってCDは売れなくなります。しかし、有名でないアーティストの曲をP2Pで聞いてみたら良かったので、CDも買おうということになれば補完しあう関係になります。

 理論的にはどちらもありうると思いますが、結局はプラス・マイナス・ゼロになるというのが、ほとんどの実証研究の一致した結論です。つまり著作権法で縛る意味はないんです。しかし、流通業者にとってはそうではない。情報のボトルネックになることで収入を得ている訳ですからね。著作権や電波の問題のように、ほかの連中を排除することで利益を得ている産業が最後に残るわけですよ。

 まさにそこを叩かないといけないんです。

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