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ライセンスなしでもOK! エアロバティック飛行を体験してみた

2011年06月11日 12時00分更新

文● 伊藤 真広 写真● 布留川司

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 年始に行なわれている陸上自衛隊第一空挺団の降下訓練始めの会場で、航空カメラマンの布留川氏にあることを教わった。日常生活ではまず体験することのできないエアロバティックの体験飛行を、健康な大人であれば誰でも体験できる施設が国内にあるというのだ。
 普段から秋葉原の街で欲望の赴くままに行動している筆者はついに我慢できなくなり、曲芸飛行を体験すべく静岡へと向かった。

日本にエアロバティックを始めとした航空スポーツを根付かせようと活動する飛行クラブ「AIREX」。ここでは素人でも曲芸飛行に同乗させてくれる(要予約)

 早朝、布留川氏に連れられて車で東京を出発。東名高速を西へ向かい箱根の山を越えるころ、私は空に憧れていた少年時代をぼんやりと思い出していた。
 映画「トップガン」や「超時空要塞マクロス」、「紅の豚」、最近であれば「ラストエグザイル」などの映像作品を見て、大空に夢を馳せる人は少なくないことだろう。かくいう私も、日本が誇るエースパイロット坂井三郎氏の「大空のサムライ」を幼少の頃に読んで、パイロットになりたいと思った手合い。とはいえ、飛行機に乗る機会は民間旅客機のエコノミークラスばかり。映画で見るようなエアロバティック飛行とはいったいどんな感じなのだろう。やはり素人が体験すると、嘔吐したり気絶してしまうのだろうか?
 そんなことを考えているうちに、駿河湾を望む静岡県静岡市清水区蒲原にある富士川滑空場に車が到着した。ここがエアロバティック体験飛行を実施する、AIREXの活動拠点なのだそうだ。

富士川滑空場は静岡県航空協会が管理するグライダーの滑空場であり、休日はいろいろな航空機を間近で見られる(※見学のための滑空場内立ち入りは自由)

 AIREXとは、航空自衛隊でF-15戦闘機のパイロットとして活躍し、操縦教育部隊ではパイロット養成にも携わっていた総飛行時間3850時間以上というベテランパイロットの小宮氏が代表を務める団体で、海外では盛んなエアロバティック飛行を始めとした航空スポーツを、日本でも広く知ってもらうことを目的に設立された飛行クラブだ。
 パイロットライセンスを持っていない人も参加できるエアロバティック体験飛行以外にも、ライセンスを所有している人向けのフライト・トレーニングやエアショーなども行なっているという。

AIREX代表の小宮氏。元イーグルドライバーと聞いて、屈強のタフガイを想像してビクビクしていたのだが、実際にお会いしたら、フレンドリーかつ笑顔の似合うナイスガイだった

 東名高速の渋滞につかまってしまい、当初の予定よりも大幅に遅れて富士川滑空場に到着した私たちを笑顔で迎えてくれた小宮氏。
 早速、エアロバティック初体験となる筆者のために緊急時の脱出方法やエアロバティックでのGへの対処方法(呼吸を止めて下っ腹に力を入れる)などの諸注意を説明してもらい、AIREXの所有するエアロバティック機「エクストラ200」に搭乗することとなった。

エアロバティック専用機エクストラ200

 通常、エアロバティック機は一人乗りの単座機なのだが、「エクストラ200」は、体験飛行やトレーニングで使用するため、2人乗りの複座機となっている。

今回搭乗したエクストラ200。主翼にフラップ(角度を変え揚力を増す機構)がない、シンプルな作りのレシプロ機となっている

 単座機とは少々性能が違うらしいが、AIREX所有の機体は、539kgという軽量なボディに200馬力のエンジンを搭載し、超過禁止速度(最高速度)407km/h、ロールレート毎秒360度という高い運動性を持つ。そのうえ、最大荷重±10Gに耐えられる戦闘機並の強度を持つ非常に優れた機体なのだ。ちなみに普通の人に10Gもの荷重がかかったら10人中9人は確実にブラックアウト(失神)すると言われている。
 そんな機体でも、やはり難点はある。それは燃費が決して良いとは言えないこと。車に例えるならばスポーツカーといった位置付けの競技用飛行機なので、これはいたしかたない。

エクストラ200の翼(写真左)と一般的な飛行機の翼(右)。一般的な飛行機は翼の上部分が若干膨らむことで、揚力を生みやすくなっている。エクストラ200は、翼を上下対称にすることで速度変化に対する揚力の変化が抑えられ、エアロバティック機動時の操縦性を向上している

(次ページへ続く)

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