「日本では、ATRACをいきなりやめられない」
── DRMなしのWMAは、7月に発表された“NWD-B100”シリーズ(ニュースリリース)も採用していた。WMAではなく、AACを採用する選択肢もあったと思うが。
津田 DRMフリーの楽曲といえば、英EMIがアップルと組んで、iTSで“iTunes Plus”として始めたものが知られている。EMIだけではなく、米ユニバーサル・ミュージックもDRMフリーの楽曲配信をMP3形式で始めている。
ソニーとしては、どちらかといえばアップルの対抗勢力に付いたほうがいいと考えているのではないだろうか。
── ATRAC廃止の波は、日本市場にも波及するのか?
津田 日本では、J-POPだったら“Mora”のほうがiTSより購入されている。Moraの標準フォーマットはATRACだ。今まで何千、何万というユーザーがmoraで楽曲を購入している訳だから、いきなりやめるということはないだろう。
将来的にはATRAC、AAC、WMA、MP3などに対応した“全部入り”の携帯型音楽プレーヤーが出てくるのではないだろうか。今回の『NWZ-A810』の後継となる『NWZ-820』か『NWZ-830』(型番は予想)あたりで投入してくることも十分考えられる。
筆者紹介-津田大介
インターネット媒体やビジネス誌を中心に、幅広いジャンルの記事を執筆するライター/ITジャーナリスト。音楽配信、ファイル交換ソフト、CCCDなどのデジタル著作権問題などに造詣が深い。音楽配信関連の話題を扱うウェブサイト“音楽配信メモ”の管理人としても知られる。この8月に小寺信良氏との共著で『CONTENT'S FUTURE』を出版。

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