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今さら聞けないIT英語 第15回

日常的に使っているdeviceの意味は 本当に「周辺機器」で間違いないのか?

2006年09月29日 00時00分更新

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 コンピュータを日常的に使用している人にとって、「device(デバイス)」は馴染み深い言葉だろう。Windowsなどで新しい周辺機器をインストールするときは、一緒にデバイスドライバをインストールする作業も行なっているはずだ。そのため、deviceを周辺機器(ハードウェア)と認識している人も、多いのではないだろうか。だが、それだけで本当に大丈夫だろうか?

 果たしてdeviceとは、どういう意味の英単語なのか。「リーダーズ英和辞典」(研究社)で調べた。

 device
 装置、考案物、意匠、工夫、手段

 deviceには、周辺機器やハードウェアを指す由来になったと考えられる「装置」という意味があるようだ。だがIT英語には、いわゆる周辺機器を指す「peripheral」という単語も存在する。そのため、次のような英文に出くわすと首をかしげてしまう。

 Determining the name of the devices for the peripherals (for example you can check if your network card has been detected as ne0 or ne1).

 いかがだろう? deviceをハードウェアとしての周辺機器と理解していると、「Determining the name of the devices for the peripherals」を「周辺機器への周辺機器の名前を決める」と読んでしまうことになり、何ともおかしな文意になってしまう。では、このdeviceとは何なのか。

 ITの世界では、集団の中から特定の対象物を識別するために「符号」をつけることが多々ある。この符号が「識別子(identifier=ID)」だ。たとえば、インターネット上に存在するコンピュータやネットワークを識別するためには、ドメイン(domain)という識別子を用いている。これと同様に、システム上で独立した単位として機能できる電子回路や周辺装置にも、固有の識別子がつけられている。こうしてシステムにインストールされ、識別子を割り当てられた電子回路や周辺装置を一般化した言葉こそがdeviceなのだ。

 deviceがそうした意味を持っていることが分かると、先の英文も理解できるようになる。適切な日本語訳はこうだ。

 周辺機器のデバイス名(デバイスの識別子)を決める(たとえば、ネットワークカードなら「ne0」か「ne1」というデバイス名として、検知されているかどうかを確認できるはずです)。

 日常的に使いがちな「device=周辺機器」という認識にとらわれていると、思わぬところで足元をすくわれる可能性がある。普段、何気なく話しているIT英単語の意味を正確に認識することは、キャリアアップを目指すエンジニアにとって不可欠であろう。

日常的に使っているdeviceの意味は本当に「周辺機器」で間違いないのか?

Illustration:Aiko Yamamoto

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