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今さら聞けないIT英語 第24回

ITと切り離せない「記憶」に関する 言葉の意味と使われ方を把握しよう

2006年12月01日 00時00分更新

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 IT業界で働く人はもちろん、コンピュータを使用している人であれば誰でも日常的に、データを読み込んだり保存したりといった作業をしていることだろう。IT業界と切り離せないデータの記憶や管理には、常に細心の注意を払いたいものだ。

 memory、storage、archive……。IT英語にはデータの記憶に関する言葉がいくつもある。これらの違いは何なのか。それぞれの意味を「dictionary.com」で調べてみた。

memory
The mental faculty of retaining and recalling past experience. (過去の経験を保持して、思い出す知的な能力)

 この意味から転じて、コンピュータサイエンスでは「情報を格納する能力」すなわちデータを記憶する「装置」の意味で用いられている。特にCPUが直接読み書きできるRAMやROMなどを指すことが多い。ちなみに、CPUのスペック表記などで書かれている「キャッシュ」は、正式名称を「cache memory(キャッシュメモリ)」という。CPU内部にある高速な記憶装置で、ここに使用頻度の高いデータを一時的に記憶しておくことでメインメモリへのアクセスを軽減し、CPU総体の処理を高速化している。

storage
Capacity or space for storing. (保存するための容量または空間)

 コンピュータサイエンスにおけるstorageは、ハードディスクやフロッピーディスクなどの「外部記憶装置(external storage unit)」を指す言葉として多用されている。

buffer
Something that lessens or absorbs the shock of an impact. (衝突の衝撃を少なくするか、吸収する何か)

 bufferはコンピュータサイエンスでも「緩衝をするもの」という意味で用いられている。すなわち、処理速度や転送速度が異なるハードウェア間やソフトウェア間でデータをやり取りする際、その速度差を補うためにデータを一時的に保存しておく記憶装置や記憶領域のことをbufferと呼んでいる。

archive
A place or collection containing records, documents, or other materials of historical interest. (記録や文書、その他の歴史上の重要な資料を、収集保管すること、または場所)

 「文書の保管所」という原義から転じて、コンピュータサイエンスでは「ファイルなどまとめてを保管する場所」という意味で使われている。コンピュータ上における保管≒記憶というわけだ。archiveのデータは、後で何かに使うために保管されているので、解凍など決められた手順を踏まない限り取り出せない。

repository
A place where things may be put for safekeeping.A warehouse. (ものを保管の目的で置くための場所。倉庫)

 倉庫という意味の通り、コンピュータサイエンスでも「体系だてて一定期間データを保存している場所」を指している。つまり、アプリケーションやシステムの設定情報が、まとめて記録されているファイルやフォルダのことをrepository(リポジトリ)と呼んでいる。また、複数の開発者がプログラムする環境では、ソースコードなどの情報をまとめて保管するデータベースを指すこともある。

folder
A folded sheet of light cardboard used to cover or hold papers, letters, etc., as in a file. (書類とじのように、書類や書簡などを覆ったり収めたりするのに使われる軽装なボール紙を折ったもの)

 パソコンユーザーおなじみのfolderは、ファイルを分類・整理するための「保管場所」という意味。folderの中にもfolderを作れるので、階層構造にしてデータを細かく分類することもできる。UNIXやMS-DOSではdirectoryと呼ばれている。

directory
A book containing an alphabetical or classified listing of names, addresses, and other data, such as telephone numbers, of specific persons, groups, or firms. (特定の人物やグループ、または会社の名前やアドレス、電話番号などその他のデータを、アルファベット順にしたり分類したリストにしている本)

 directoryはファイルを体系だてて分類・整理するための「保管場所」のことで、folderと同義で用いられることが多い。一方で、ネットワーク上のユーザや資源(サーバやサービス、プリンタなど)を一元管理するシステムを「directory service」と呼ぶ。

 このように日本語で一口に「記憶」と言っても、実はデータの記憶形態や使用形態によってさまざまな単語が用いられている。これらのIT英単語の意味と使われる状況を把握することで、トラブル発生時でも落ち着いて対処できるようにしたい。

ITと切り離せない「記憶」に関する言葉の意味と使われ方を把握しよう

Illustration:Aiko Yamamoto

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