mixiの秀逸さはサイトデザインにある
今回の本題に入る前に、筆者の持論を少し語らせてもらいたい。昨年秋、米国のSNS“MySpace”の日本進出前に、果たして同サービスが日本で成功しうるのかを、米国の有名雑誌の方と3時間近くにわたって議論した。
私が出した結論は「極めて難しい」だ。というのも、日本のSNSでトップシェアをとっている“mixi”(http://mixi.jp/)のサイトデザインが絶妙だからだ。
mixiはページの見ためもサイトの構造もよく考えられている。ユーザーが欲しい情報にきちんとアクセスできるし、利用者や友人、参加コミュニティーが増えたことによって生じる圧迫感にもうまく対処しているのだ。
世間では“mixi疲れ”といった言葉も聞かれるが、あれがほかのサービスならもっと早く疲れを感じるか、逆にまったくユーザー同士の交流が行なわれないまま離れていってしまう。
万人が好きなデザインではないとはいえ、大勢を取り込んで生態系をつくってしまった今、その牙城を切り崩すのは難しい。
だが、筆者にはmixi独壇場の日本で、ほかのSNSを生き残らせるアイデアがある。プロフィール情報を“アンバンドル”、つまりサービスから独立させ、複数のSNS連合で共有するというものだ(関連記事を2004年ごろ、筆者のブログに英語で書いている)。
mixiに対抗するにはSNS連合
mixiのような汎用SNSが乱立し、連合を作っても、お互いの客を奪い合って共倒れするだけだ。しかし音楽系、写真共有、同窓会情報、飲み会の企画といった“ニッチ”を持つSNS同士の連合であれば、十分、mixiに対抗できるのではないか。
もちろんmixiでも、音楽情報の交換や写真共有のための機能、コミュニティーにおける同窓会の交流がある。しかし、MTV Japanのコンテンツを持つバイアコム インターナショナル ジャパン(株)の“FLUX”、写真をリサイズなしに容量無制限でアップロードできる“Flickr”、全国の学校情報が登録されている“この指とまれ!”といった専門に最適化されたサービスにはかなわない。
専門のSNSの悩みは、専門性が高過ぎると、なかなかユーザーを獲得できないということだ。しかし、もし1つのIDですべてのSNSにログインできる状況が生まれれば、mixiのコミュニティーに参加する感覚で、気軽にいろいろな専門SNSを使い分けられるだろう。
(次ページに続く)
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