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ASCII Power Review 第178回

RシリーズAPS-Cミラーレスカメラの弟分です

キヤノン「EOS R10」実機レビュー = 最新機能満載で小型軽量の超お買い得カメラだ

2022年07月05日 10時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 7月下旬に発売予定のキヤノンRFマウントを採用したAPS-Cミラーレス機「EOS R10」を、発売に先駆け撮影できる機会に恵まれた(役得である)。6月23日に発売された「EOS R7」の弟分で、価格帯的にはエントリー機といえるが、メーカーではミドルクラス機に位置付けている。その実力はいかに、両機の違いも含めチェックしていこう(試用した製品は発売前の評価機なので、動作や画質などは実際の製品とは異なる可能性がある)。

量販店価格はボディーのみで12万8480円。レンズキットは「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」14万3880円と「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」17万6880の2通りがラインナップ。

エントリー価格だが、作りはミドルクラスの出来

 ボディーサイズは「EOS R7」と比べるとかなり小型で、手の大きな人や鏡筒の太いレンズを装着したときは少し窮屈に感じるかもしれない。細身のグリップが手によくなじみ、構えてみると軽さを実感できる。

ボディーサイズは122.5(W)×87.8(H)×83.4(D)mm、重量はメディア・バッテリー込みで429g。

 操作系も「EOS R7」と同様「MENU」ボタン以外に右側にまとめて配置され、撮影時は右手だけで操作が完結する。

上面の操作系はリアコマンドダイヤルと電源スイッチの形状、ISOボタンの有無が「EOS R7」とは異なる。

ボディーが小型なぶん、背面操作系の特に十字キー周りはすこし窮屈。液晶ディスプレーは104万ドット、タッチ操作対応のバリアングル式。

 背面には測距点の移動ができる「マルチコントローラー」が搭載されている。このあたりにはエントリー機との違いを感じる。

「マルチコントローラー」は測距点の移動にくわえ、押し込むことで測距点の中央位置へのリセットができる。またカスタマイズでトラッキングON/OFFなども割り当てられる。

「マルチコントローラー」押し込み時の設定画面。AFモードの切換や瞳検出のON/OFFなども割り当てられる。

 逆に最近では一部のエントリー機でしか見かけない内蔵ストロボを搭載しているのは、初心者に向けた配慮だろう。

内蔵ストロボはマニュアル発光もできるので、昔ながらの光学スレーブのマスターにすることも可能。

 ストロボ調光や外部マイク、スマホアダプターなどのアクセサリーが使用できる「マルチアクセサリーシュー」やボディー前面には「フォーカスモードスイッチ」も「EOS R7」と同様に搭載されている。

「マルチアクセサリーシュー」は装着したアクセサリーとの通信にくわえ一部製品では電源も供給も可能だ。

「フォーカスモードスイッチ」のボタンにも各種機能を割り当てられる。

 バッテリーは小型の「LP-E17」(「EOS RP」や「EOS M6MarkⅡ」と共通)を採用。公称撮影枚数は約210枚(ファインダー「なめらかさ優先」表示で撮影時)だが、試しに電池切れになるまで撮ってみると、ストロボ未使用で連写を混ぜながらだったが、RAW+JPEGで342枚撮影することができた。思ったよりはスタミナはある印象だ。

バッテリー室はメディアスロットと共通。SDカードはUHS-IIに対応している。

 EVFは236万ドットと同じだが、倍率は0.95倍と像が小さめ。またメカシャッターは最高速が1/4000秒(電子シャッターなら1/16000秒まで可能)で、動作に少しバタ付きがあり音も甲高く安っぽい。とはいえ実際の撮影にそれほど影響するものではないので個人的には許容できる。

 レンズキットは「EOS R7」と同じ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」にくわえ「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」の2通りから選べる。「18-45mm」はズーム比や開放F値は低いが、沈胴式で収納時は44.3mmとコンパクトになるので小型ボディーの「EOS R10」との相性はバッチリ。さらにレンズキットのお値引き額は「18-45mm」の方が多くお買い得だ。

 ただ万能性という点では高倍率ズームの「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」だろう。最短撮影も短く撮影倍率が高いのもポイント。どちらを選ぶかは悩ましいところだ。

「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」を装着した状態と最大に繰り出した状態を比較。レンズ自体はスリムだが、それなりにサイズがあり、繰り出すと結構長い。

「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」を装着した状態と最大に繰り出した状態を比較。。収納時は単焦点レンズ並で、繰り出してもまだコンパクトだ。

さすがキヤノンの最新モデルで、写りは万全

 撮像素子は2420万画素で「EOS R7」の3250万画素よりは控えめだが、現行のAPS-C機としては標準的な解像度だ。画質の傾向も「EOS R7」に似てシャープネスやコントラスは強調しすぎ、それでいて細部はしっかり解像されている。

明暗差の階調や色乗りの良い発色、ピント部の解像感など画質は優秀。使用レンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」・焦点距離18mm・絞りF3.5・シャッタースピード・1/2000秒・ISO100。以下特記しない限り共通、ホワイトバランスオート、ピクチャースタイルオートで撮影。

アップで撮影してみると石造の質感がしっかりと再現された。使用レンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」・焦点距離150mm・絞りF6.3・シャッタースピード・1/800秒・ISO160。

色の乗りは良いが、決して派手ではない自然な発色だ。使用レンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」・焦点距離150mm・絞りF6.3・シャッタースピード・1/400秒・ISO100。

「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」で撮影。コンパクトなボディーとレンズで気軽にスナップを楽しめた。焦点距離18mm・絞りF6.3・シャッタースピード・1/320秒・ISO100。

35mm換算72mm相当の「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」の望遠側は、風景の一部を切り出すのに丁度いい画角。絞りF6.3・シャッタースピード・1/100秒・ISO800。

夕暮れ時の街並みをスナップ。望遠側開放F値はF6.3と暗めなのでISO感度はオートにしカメラ任せで撮影してみた。使用レンズ「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」・焦点距離40mm・絞りF6.3・シャッタースピード・1/80秒・ISO640。

 連写速度はAF/AE追従でメカシャッターは秒15コマ、電子シャッターなら秒23コマ(「EOS R7」はメカシャッター秒15コマ、電子シャッター秒30コマ)。さらにプリ撮影が可能な「RAWバーストモード「も搭載している。

 最高連写での連続撮影枚数を試すと、JPEGラージファイン、UHS-1 のSDカードの使用時、メカシャッターで15秒230コマ、電子シャッターでは4秒90コマ(RAW+JPEGではメカシャッター2秒30コマ、電子シャッター1秒24コマ)でバッファ詰まりが起こる。電子シャッターでは動体撮影での歪みは発生するが、この価格帯の製品としては最速の連写性能だ。

「RAWバーストモード」で撮影した写真からGIFアニメに。最初は瞳を認識していたのに、一度フレームアウトし認識が外れるという失敗を・・・。「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」・焦点距離89mm・絞りF6.3・シャッタースピード・1/2000秒・ISO6400・被写体検出動物。

鳥が飛び立つ瞬間も「RAWバーストモード」なら楽々撮れる。「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」・焦点距離150mm・絞りF6.3・シャッタースピード・1/2000秒・ISO4000・被写体検出動物。

 AFも人物や動物、レーシングカーなどの被写体認識に、SERVO(AF-C)のオートトラッキングや、ONE SHOT(AF-S)時のトラッキングON/OFF設定など「EOS R7」と同様の性能を備えている。実際に撮影してみると、ピントの食い付きがワンテンポ遅れることや、動物など不規則な動きをする被写体では追尾の迷いやロストすることもあったが、極端に激しい動きの被写体でなければ十分に満足できるAF性能だ。

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