2020年12月16日の取引で、ビットコインが初めて2万米ドルを超えた。日本円換算でも17日に一時240万円を超えている。
ロイターが17日付で「上昇の背景には、近い将来、ビットコインが支払い手段として主流になるとの期待もあり、投機的などといった当初のマイナスイメージが払拭されつつある」と報じるなど、仮想通貨(暗号資産)への期待感は再び高まりつつある。
仮想通貨関係者はお祭りムードだが、今回はちょっと落ち着いて、仮想通貨に対する懸念のひとつと指摘されてきたマネーロンダリング(資金洗浄)について考えてみたい。
最近は、資金洗浄の手法も高度化が進んでいるようだ。
●仮想通貨の移動は監視しやすい
ビットコインに代表される仮想通貨は、国境を超えた送金が容易であることから、犯罪に使われやすい――。
以前からある仮想通貨に対する批判のひとつだが、この批判は、的を射ている部分とそうでない部分がある。
仮想通貨での取引はすべて、改ざんがほぼ不可能とされるブロックチェーン上に記録される。
このため世界各地の捜査機関は、犯罪に関連する疑いのある取引について、追跡に特化したツールを駆使して監視している。
これに対して、金の流れを追いにくくする「ミキサー」と呼ばれるサービスが存在する。
大勢の利用者から仮想通貨を預かり、大量の仮想通貨をかき混ぜる。預けた仮想通貨を引き出すときは、別の仮想通貨が渡される仕組みだ。
ブロックチェーンの解析やマネーロンダリング対策を提供する企業ELLIPTICの共同創業者が12月9日、最近の動向に関するブログを公開した。
この記事によれば、ミキサーには重大な難点があるという。ミキサーを使いたくても、実は捜査機関が運営しているミキサーかもしれないし、預けた金が戻ってくる保証もない。
ミキサーに対する取り締まりも強まっている。
●マネロンに利用される「プライバシーウォレット」
ミキサーに代わって利用されているのが、「プライバシーウォレット」と呼ばれるサービスだ。

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