科学・生物で気になることをお届け! 「数式なんて知らんし!!」 第16回
平成の終わりとともに太陽圏を脱出
太陽圏を飛び出した探査機『ボイジャー2号』は未知の生命と遭遇か?
2019年04月24日 12時00分更新
昭和発平成またぎで“スイングバイ“
3月末くらいから、〝平成を振り返る〟的な特番が多くテレビで組まれるようになり、にわかに自分の中でも平成を振り返っているせれろんやまだです……が、大きな不満がひとつございます。それは「科学史も振り返らんかい!」。
ざっとあげると、平成に入って日本人が次々と宇宙に行ったり、国際宇宙ステーションが完成したり、はやぶさの偉業があったり、iPS細胞が発見されたり、ヒトの遺伝子の解析が終わったりと、経済史や事件史並みにネタは色々とあるのですが、個人的に印象に残っているのは〝ボイジャー2号の海王星接近〟です。
今でこそ、海王星といえば〝ほとんど青一色の惑星〟として、その姿はすぐに脳内再生できると思いますが、探査機が初めて海王星に接近し、その姿を捉えたのは平成元年のことなのです。あまりにも海王星の色が神秘的すぎて、当時の私はテレホンカード入手しましたっけね……(時代)。
平成元年(1989年)に海王星に接近したボイジャー2号、打ち上げはそこからさかのぼること12年前の1977年(昭和52年)です。「今から42年も前じゃん! で、今はどうなっちゃってんの?」と思いますよね? なんと今でも運用中なんです。現役の探査機なのです。海王星に接近した後、ボイジャー2号は今どこにいるのでしょうか?
なんと昨年末、太陽圏を離脱しちゃったそうです。2019年4月1日現在、地球からの距離なんと120・4天文単位(約180・6億キロメートル)、光でも片道16時間40分かかる距離です。新幹線だと1万年以上もかかりますからめちゃ遠いですね。
そんなボイジャー2号ですが、その仕事を終えたあと、ただ延々と太陽から遠ざかっているわけではありません。実は我々人間の存在にとって〝重要な任務〟を背負っているのです。
ボイジャー2号は、NASAの太陽系外惑星・太陽系外探査計画であるボイジャー計画の一環として打ち上げられた探査機です。2号があるということは、1号もあります。実は、この2号の方が1号より早く打ち上げられているんですね。1号は打ち上げ直前に不備が見つかって打ち上げが2週間ほど延期されたのです。ボイジャー1号は、木星と土星を主に観測して、こちらも太陽圏外に出ています。
この連載の記事
- 第100回 今でこそ当たり前に使っている「ゼロ」の不思議
- 第99回 新型コロナ研究にも貢献! スパコンって一体どんなことをしているの?
- 第98回 宇宙の果てはどこにある? そもそも果てなんてあるの?
- 第97回 AIが人間を超える“シンギュラリティー”って一体何なの?
- 第96回 意外と深いハチの世界! オスは上げ膳据え膳の生活!?
- 第95回 もう少しで新しいロケットがお目見え! “H3ロケット”
- 第94回 小惑星探査機「はやぶさ2」はどうやってサンプルを回収したの?
- 第93回 もうすぐ夢が現実に! “超電導リニア”はどこまで進んでる?
- 第92回 “マンボウ”って本当にすぐ死んでしまうの? 弱い動物のお話
- 第91回 たいていの動物にはある“アレ”が“クラゲ”にはない!?
- この連載の一覧へ