商品やサービスのプロモーションを目的に企業がYouTubeやFacebook、ニコニコ生放送などのライブ配信を活用することが多いのは、年に1~2回程度のメディアを招いての発表会や決算発表会だったり、東京ビッグサイトや幕張メッセといった展示場で開催されるような展示会の現場でブースのイベントステージの模様をライブ配信したりといったケースかもしれません。
これらの場合、ほとんどはイベント運営を外部の会社へ委託する形が多く、その延長線上で、私たちのようなライブ配信が専門の業者がお手伝いをする、ということが多いでしょう。
こうした、ある程度規模の大きなものについては専門の業者へ依頼する一方で、それよりはもっと規模が小さいケースでライブ配信したい、そして、それを自社のリソース(=人)でまかないたいというニーズもあります。
スマートフォン一台でライブ配信が手軽にできる時代とはいえ、商品やサービスのプロモーションを目的に使う以上は、視聴者に向けたそれなりのクオリティーでライブ配信をする必要があるはずです。しかし、それなりのクオリティーを保つには、簡単そうに見えて、意外に難しいところもあるのです。
この場合、最初にハードルとなるのは、ライブ配信をするための機材選択です。どういった機材を選択すれば良いのかはもちろん、それらを揃えたらどのぐらいのコストがかかるのか。ただ単純に機材を機能性で選べば良いだけでなく、それらの機材を(これまで機材を触ったことがない人でもそれなりに)使いこなさなければならないことを加味した機材選びが重要なのです。
過去にこうした機材選びについてコンサルティングをさせて頂いた経験などを踏まえ、次回から複数回(3回ほど)に分けて、商品やサービスのプロモーションを目的とした企業自身がもつライブ配信のメディアを「自社(自分たち)でイチから作りたい(立ち上げたい)」ときの機材選びをどのようにしたら良いのか、を具体的な機材も含めて紹介していきます。
その前に、今回は「機材を選ぶ上で最初に考えておかなければならないこと」と「必要となる機材は大まかにどのようなものがあるか」と考えていきたいと思います。
どのような内容(番組構成)をライブ配信するか
まず、目標とするライブ配信のコンテンツ(内容)はどのようなものなのかを考える必要があります。ここを疎かにしてしまうと、せっかく予算をかけて購入した機材がオーバースペックならまだしも、目標とする内容を実現するために機材が足らないなんてことも起こりえます。
しかし、どのような内容を配信したいのかが明確になっていない場合であったとしても、まずは「理想とする同業者などのライブ配信コンテンツ事例」を探してみてください。
「コレと似た感じのコンテンツ(内容)にしたい!」という目標となるコンテンツが具体的にあると、おのずと、ライブ配信の番組構成も決まってきますし、それに伴って、必要なライブ配信の機材も決まってくるからです。
アスキーのYouTubeチャンネルで配信されているYouTube Liveの事例を見てみます。例えば、2018年4月20日配信のASCII NEWS「今週のASCII.jp注目ニュース ベスト5」であれば、下記のような番組構成になっています。
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