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「ライブ配信メディア完全解剖 〜過去と今、そして未来へ〜」第113回

ゲーム実況者におすすめの機材 ローランドの新ビデオミキサー

2018年11月15日 17時00分更新

文● ノダタケオ(Twitter:@noda) 編集● ちゅーやん

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 ローランド株式会社は世界最小2チャンネル・マルチフォーマット・ビデオ・ミキサー「V-02HD」を11月8日に発表。12月14日の発売予定日に先駆け、11月14日から11月16日まで幕張メッセで開催されるInter BEE 2018(2018年国際放送機器展)で初お披露目となりました。

 新製品「V-02HD」は2015年12月に発売された“V-1HDの弟分”的な製品。外観面の最大の特徴は「ビデオミキサーとは思えないぐらいの超コンパクトサイズ」です。V-02HDの外形寸法は奥行(108mm)や厚さ(51mm)はV-1HDとほぼ同じですが、横幅は160mm。

 ちなみに、兄貴分であるV-1HDの横幅は313mmでしたから、まさに「V-1HDを上から真っ二つに切った」感じのサイズです。

 さらに、V-1HDが発売された当時の希望小売価格は12万8000円(税抜)でしたが、今回発表されたV-02HDの市場想定価格は7万円(税別)前後。

 自社でメディアをもち商品やプロモーションでライブ配信を活用する企業だけでなく、個人でライブ配信しているクリエイターたちも“ちょっと背伸びをすれば手が届く”価格帯の「カジュアルなビデオミキサー」の登場に関心を寄せる人も多いように感じています。

V-1HD(手前)とV-02HD(奥)。一目でわかるようにV-02HDのサイズはかなり小さくなった

兄を大きく超える弟「V-02HD」の多機能性

 個人でも“ちょっと背伸びをすれば手が届く”価格帯の「カジュアルなビデオミキサー」で「真っ二つに切った」サイズの「“弟分”的な製品」であるV-02HDですが、価格は安価でも機能はV-1HDよりも大きく上回ります。

 映像面では、V-1HDと比べてV-02HDは「入出力にスケーラーを搭載し、マルチフォーマットに対応」。iPhoneなどのスマートフォンから出力された映像を入力しても、16:9ではない一昔前の4:3の画面出力しかできないパソコンから出力された映像でも、接続された機器からの映像解像度を正しく認識し、スケーラーが適切な形で受け入れます。

 逆に、出力先のモニタやプロジェクターにあわせて4:3の映像を渡さなければならないときも、V-02HDがそれにあわせて映像を送り出してくれます。

 ライブ配信の現場では、カメラやゲーム機、プロジェクターやモニターなど、多くの機器の入出力のフォーマットを統一(変換)する必要が往々にしてあるのですが、V-02HDは「入力も、出力も、なにも考えずにとりあえずHDMIケーブルを挿してみる」ことが可能で、様々な映像フォーマットに関する知識を持ち合わせていない人、これからライブ配信をはじめたい人もこうしたテクニカルなことにも対応できます。

 また、V-1HDでは制約があった「ピクチャーインピクチャー(PinP)は子画面のサイズ、位置、クロップ(映像の1部分を切り出すこと)を自由に設定可能」となり、「静止画キャプチャーに対応」されたことで入力された映像のその瞬間を、静止画として記憶させることが可能となりました。

 一方、音声面では入力端子がRCA(赤白のピンプラグ)から3.5mmのステレオミニタイプへと変わりましたが、音声エフェクトはコンプレッサーやイコライザーのほか、リミッターも搭載。

 V-02HD本体側面にある3.5mmステレオミニタイプの音声入力端子だけを見ると、なんだか心もとない感じも受けるかもしれませんが、オーディオメーカー「Roland」ならではの充実した機能が設定メニューに詰め込まれています。

 特に音量を一定のレベル以下に抑える(過大入力が起こらないようにする)リミッターの機能が搭載されたことは音声面での大きなトピックと言えるでしょう。

 トークが主体となるライブ配信では、いきなり笑ったり大きな声を出したりしたことで起こりえる過大入力を適切に処理しなければならないことがよくあります。個人のライブ配信でよく利用される安価なオーディオミキサーにはリミッター機能がないものも多く、こうした状況のときにきっと役に立ってくれるものと期待をしています。

個人でも背伸びしたら手が届く安価で信頼性あるビデオミキサーの登場意義は大きい

 その他の特徴として「カメラ三脚などに取り付けできる1/4インチネジ穴を搭載」「両手がふさがっていてもフット・コントローラーで操作可能」「キー合成、PinP、モザイクなど豊富なエフェクト機能」などさまざまなものがありますが、一方、V-02HDの最大の欠点は、4入力であったV-1HDに比べ「2入力」であることかもしれません。

 3つ以上のカメラやスマートフォン、パソコンなどの機器をビデオスイッチャー(ミキサー)へ入力したい人にとってみれば、正直なところ「入力できる数が少ない」と真っ先に感じるところでしょう。

 今回、このV-02HDをメインのビデオスイッチャー(ミキサー)として使うターゲット/利用シーンとして「ブライダルや発表会、セミナーなどの記録撮影をしている小規模プロダクション」が最初に挙げられます。

 また、既に業務用のビデオスイッチャーを持つ、ライブ配信の業務を請け負う人たちには、「ビデオフォーマット変換、オーディオエンベデッドなど、困ったときのコンバーターとして持つ」という用途で関心を持つ人もいるのかもしれません。

 でも、私個人的に最もオススメしたいのは「個人でライブ配信をしているクリエイター」です。特にスマートフォンやパソコン、家庭用のゲーム機のゲームを実況する、いわゆる「ゲーム実況」ジャンルのライブ配信をしている配信者たちは、V-02HDに注目すべきと感じます。

 これまで、カメラとともに、スマホやパソコン、家庭用ゲーム機を接続して映像入力をさせ、さらに、それを高画質高音質でライブ配信するには一台のマシンに大きな負担をかけることが多くなります。しかし、それは逆にパソコンがダウンして配信も止まってしまう「ダウンリスク」もつきものです。

 一台のマシンですべてを賄うことはもちろん可能ですが、こうしたダウンリスクを避けるために、スペックが高いマシンも必要となりその費用も上がります。その分の高いコストを払うことができるならば、負荷を分散して、より安定した機器構成を考えたとき、このV-02HDは大きな役割を担うはずです。

 確かに、V-02HDがHDMI「2入力」しかないことは欠点かもしれませんが、その代わりに世界最小2チャンネル・マルチフォーマット・ビデオ・ミキサーとしての「ビデオミキサーとは思えないぐらいの超コンパクトサイズ」は魅力的です。

 そしてなにより、これまでライブ配信に業務として関わる人にしかなかなか手が出せなかった(購入することを躊躇ってきた)ビデオスイッチャー(ミキサー)が、個人でライブ配信をしているクリエイターがちょっと背伸びをすれば手が届く、数少ない信頼性のある「10万円を超えないビデオミキサー」のひとつとして、V-02HDが登場した意義はとても大きなものだと思います。

ライブメディアクリエイター
ノダタケオ(Twitter:@noda

 ソーシャルメディアとライブ配信・動画メディアが専門のクリエイター。2010年よりスマホから業務機器(Tricasterなど)まで、さまざまな機材を活用したライブ配信とマルチカメラ収録現場をこなす。これらの経験に基づいた、ソーシャルメディアやライブ配信・動画メディアに関する執筆やコンサルティングなど、その活動は多岐にわたる。
nodatakeo.com

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