スマートフォンの普及が始まる黎明期、ドイツのキャリア「O2」は自社ブランドのスマートフォンを世界各国で販売していました。通信キャリアが高性能端末ビジネスに乗り出した背景と歴史を振り返ってみましょう。
高性能なWindows Mobile機で市場参入
O2が最初にスマートフォンを投入したのは2003年のこと。Windows Mobile OSを搭載したスマートフォンがビジネス用途にも十分つかえること、そして3Gの普及がはじまったことで、O2は端末と3G回線サービスをセットでビジネス客に売り込みをかけることにしました。端末は自社製造ではなく、ODMメーカーから調達。当時はまだ自社で製品を販売していなかったHTCのスマートフォンを導入したのです。
O2はドイツをはじめとしてヨーロッパ各国で通信サービスを提供していたことから、Windows Mobile機を各国で販売できるだけの数を調達することが出来たのです。そしてそれだけではなく、端末を自社ブランドで販売し、世界各国での展開を図りました。
最初のスマートフォン「XDA」は、3.5型240x320ドットディスプレー搭載。まだOSはPocketPCでした。太いアンテナが目立つ端末で、HTCの開発コード名は「Wallaby」。このWallabyはT-Mobileから「MDA」、シーメンスから「SX56」など、他社にも提供されました。
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