家族3~4人でスマホを利用していると、毎月のスマホ代が合計2万円や3万円になっていることも珍しくない。そこで特効薬として期待できるのが、MVNO事業者などによる「格安スマホ」だ。以前から知っている人も、毎日のようにCMで流れる「月々1980円(税抜)から」といったフレーズが気になっている人もいるだろう。
この特集では、これまで契約していたドコモやau、ソフトバンクなどのキャリアから家族まるごと格安スマホに乗り換えるとどれだけ安くなるのか、いくつかのパターンを想定して紹介していく。
格安スマホなら毎月の支払いを半額近くに抑えられる
まずは親2人子ども1人の家族で、ドコモやau、ソフトバンクといった大手キャリアの月額料金と、格安スマホの月額料金のどちらが安くなるか、おおよその相場を見てみよう。
ドコモの料金だが、3人家族のシェアパックでおおむねひとり当たり7000円前後になる。注釈として、この料金には現在提供されている「ドコモの学割」の月額1080円(1年間)の割引は入れているが、長期割引の「ずっとドコモ割」による10年利用で月1080円ほど安くなる割引額は考慮していない。
契約プランは各社によって異なるが、同じ通信量で同じ使い方をする場合、ドコモの個人が個別に契約する旧料金プランや、現在のauやソフトバンクの料金プランも通信量5GB前後なら、おおむねひとり当たり月額7000円前後の支払いとなる。
次に格安スマホの料金だ。ある程度条件を合わせるため、格安スマホでも楽天モバイルのもっとも標準的な料金プランで計算している。
ドコモ契約 | 格安スマホ契約 | |||
---|---|---|---|---|
父 | カケホーダイライト シェアパック15 spモード |
1万4500円 | 5GBプラン | 2150円 |
母 | カケホーダイライト シェアオプション spモード |
2500円 | 5GBプラン | 2150円 |
子ども | カケホーダイライト シェアオプション spモード ドコモの学割 |
1年目:1500円 2年目以降:2500円 |
5GBプラン | 2150円 |
合計 | 1万8500円 | 6450円 | ||
合計(税込) | 1万9980円 | 6966円 |
ドコモの月額料金と比べると、格安スマホなら半額以下で済むことがわかる。もっと厳密に条件を揃えるため、楽天モバイルの「5分かけ放題 by 楽天モバイル」オプションを加えたとしてもひとり当たりの月額料金は税込み3240円で、3人合計でも9720円とドコモの約半額だ。
もちろん、格安スマホに変えるとドコモやau、ソフトバンクよりも通信速度が遅くなったり、サポート店舗の数が少ないといった弱点もある。また、最新スマホをある程度割り引かれた実質価格で買うこともできない。
とはいえ、家族の家計においてドコモやau、ソフトバンクだとスマホ代に月々2万円も払っていたものが、月々1万円以下になるのはかなり大きい。これを目的に、格安スマホへの移行を考えているユーザーは多いはず。
次に、具体的な格安スマホのお得な料金プランについて紹介していく。また、格安スマホに乗り換えて使うスマホだが、お得なスマホのほか、今あるスマホをそのまま使いつつお得に移行する方法についても詳しく検証していく。
家族で乗り換えにオススメの格安スマホサービスベスト3
スマホの割引セールと安さが魅力
【楽天モバイル】
楽天モバイルは、楽天市場の関連会社として運営されている格安スマホ事業者だ。ドコモの回線を利用した低価格プランを提供している。SIMフリースマホとのセット購入での契約のほか、手持ちのドコモのiPhoneやAndroidスマホを流用して契約するのにも向いている。
最大の魅力は、定期的にスマホの割引セールを実施している点だ。家族で格安スマホへ乗り換える際、全員が新品のSIMフリースマホに買い換えると、いくら安いといっても3台だと5~10万円もの出費になる。
楽天モバイルは自社契約とセットで購入するスマホを割引価格で販売しており、他社より1台あたり1万円以上安いことも多い。格安スマホへ乗り換える際、新しいSIMフリースマホを買うならまずは楽天モバイルの価格をチェックするのがオススメだ。
料金プランについても格安スマホ事業者の中では新サービス展開に積極的で、毎回の通話が5分かけ放題の定額サービスや、30秒当たり10.8円と大手より安い通話料、通信量のシェアサービスなどさまざまなオプションをいち早く手がけており、便利なサービスがひととおり揃っている。
ライバルとは違なり通信量の繰り越しがない点以外は、格安スマホの新しいサービスを次々と打ち出している。2017年の冬春商戦では、2人以上で契約すると2回線目以降の料金を1年間大幅に割り引くキャンペーンも実施している。
高速通信とiPhoneのラインアップが魅力
【Y!mobile】
【UQ mobile】
Y!mobileはソフトバンクの低価格ブランド、UQ mobileはauの低価格ブランドと実質的に言える通信事業者。2社とも別々の格安スマホ事業者だが、特徴が似ているのでまとめて紹介する。
2社はソフトバンクやauという大手通信事業者の関連企業ということもあり、ライバル事業者と比べて、通信が混雑する昼間や夜間でもかなり快適に利用できることが多い。格安スマホでもネット動画視聴を楽しみたい場合や、PCでのテザリングを活用する場合にオススメだ。
もうひとつの魅力は、アップルの「iPhone 5s」を実質0円で販売している点だ。ライバル各社はiPhoneを割安な価格で取り扱えない中、この2社は割安で販売している。今でも十分高い性能をもつ人気機種だけに、個人でも子ども用としても魅力的だ。
この2社のメールアドレスはY!mobileが「@ymobile.ne.jp」、UQ mobileが「@uqmobile.ne.jp」で、現在ドコモ、au、ソフトバンクのケータイメールの携帯・PHSメールだけを受信する自動迷惑フィルターを通過して受信できる。メールアドレスは変わるものの、引き続きケータイメールを利用できる格安スマホはこの2社となる。
Y!mobile | UQ mobile | |
---|---|---|
料金プラン | スマホプランM | おしゃべりプランM |
月額料金 | 1年目:3238円、2年目:4298円 | |
家族割引 | 2回線目以降540円割引 | なし |
通信量 | 3GB+3GB | |
通信量繰り越し | × | ◎ |
通話料 | 毎回10分無料 超過ぶん30秒/21.6円 |
毎回5分無料 超過ぶん30秒/21.6円 |
契約期間 | 2年 |
一方で、料金プランは他の格安スマホより若干割高だ。標準的なプランでは通話定額と定額6GBのデータ通信で月額3218円だが、1年後から月額4298円と、ライバル各社の同等プランより1000円程度高くなる。また、格安スマホながら2年契約が標準なのにも注意。とはいえ、通信の安定性を考えると月額料金は妥当なものだ。
Y!mobileはソフトバンクからMNP、UQ mobileはauからのMNPに対して、割引やキャンペーンを適用しないという制限がある。MNPでの移行を考えているユーザーは注意したい。
Y!mobileとUQ mobileを標準的な通信量6GBのプランで比較してみると、通話重視ならY!mobile、通信重視なら通信量繰り越しのあるUQ mobileが有利。ただし、iPhone 5sの購入を検討するなら、上位の32GBモデルを取り扱うY!mobileが有利だ。
スマホ流用や通信量シェアが自由自在
【mineo】
mineoは関西電力グループのケイ・オプティコムが運営するMVNO事業者。格安スマホの事業者では珍しく、ドコモ回線とau回線の両方を取り扱っている。つまり、家族の手持ちのスマホを格安スマホで使い続けたい場合、ドコモとauどちらのスマホでもmineoの契約で流用できるのが特徴だ。
また、よくある家族の通信量シェアだが、mineoの場合は家族でなくても最大5人までのシェアグループを組める。もちろん、ドコモ回線SIMの契約(タイプD)と、au回線の契約(タイプA)が混在していても問題ない。家族別々で契約を管理したい場合や、住所が離れている家族、ハウスシェアなどでも気軽に通信量を共有可能だ。通信量の翌月繰り越しにも対応しているので、通信量を無駄なく使い切れる。
3月1日からは「5分かけ放題サービス」オプションを月額918円で開始。5分までの通話が定額で、超過ぶんは30秒ごとに10.8円と安くなるサービスだ。これまでmineoは通話料の割引サービスが少なかったが、通話重視のユーザーも選びやすくなった。
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